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ガラスクロスとは?原材料となるガラス繊維の種類から使用用途まで徹底解説

さまざまな分野の産業において、耐熱性や耐久性に優れたシートであるガラスクロスが重宝されています。ガラスクロスは、材料となるガラス繊維の種類や配合する成分によって異なる特性を持つため、自社製品により適したものを選定することが重要です。この記事では、ガラスクロスやガラス繊維の種類、使用用途まで分かりやすく解説します。 ガラスクロスとは ガラスクロスとは、ガラス繊維(ガラスヤーン)を主成分として製造される織物のことです。溶かしたガラスを薄く引き伸ばしながら繊維状にしたものであり、工業用として生産された無機繊維としては最初のものでもあります。 ガラスクロスは、自動車産業や電子機器の製造、建築の材料などの分野で使用されており、耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性・高強度・耐久性などに優れているのが特徴です。 採用するガラス繊維の種類や織り方によって、異なる特性や強度を得られます。そのため、使用する産業や目的に応じて適切なガラスクロスを選ぶことが重要です。 ガラス繊維の種類 ガラス繊維によって異なる特性をおさえておくことで、自社の事業・産業に必要なガラスクロスを選びやすくなります。 ここでは、代表的な5種類のガラス繊維を詳しく紹介します。 Eガラス繊維(無アルカリガラス ) Eガラス繊維は、ガラス製造で不可欠なアルカリ成分をほとんど含まない、無アルカリガラスの一種です。 溶解温度を下げるアルカリ成分が少ない分、耐熱性の高いホウ素を使用しているため、熱膨張率を抑えながら急激な温度変化に対応できるようになっています。ガラス繊維の中でも比較的低コストであり、非常に優れた電気絶縁性を誇り、繊維強化プラスチック(FRP)として自動車産業や電子機器の製造、建築の材料など幅広いシーンで活用されています。 Sガラス繊維 Eガラス繊維よりも高強度、高弾性に優れているのがSガラス繊維です。アルミナ(AL203)という弾力性を高める元素を多く含んでいるのが特徴で、Eガラス繊維よりも引張弾性が約20%、引張強度が約35%高いです。さらに酸化マグネシウムも多く含まれていることから、耐熱性にも優れており、熱膨張係数が小さいというメリットもあります。ただし、融解温度が相対的に高いことから、Eガラス繊維よりも数倍高いコストで取引されています。航空宇宙・軍事・スポーツ用具などの用途に活用されています。 Cガラス繊維(含アルカリガラス ) アルカリ成分を多く含んでいるのがCガラス繊維です。 融解温度を下げられるアルカリ成分ですが、酸への耐性を向上させる効果にも期待できます。Cガラス繊維を含んだガラスクロスを採用した製品は、酸化しやすい屋外での長期間使用を可能にします。耐酸性能力の高い製品や材料を製造したい場合に、Cガラス繊維が有効な選択肢となります。 ARガラス繊維 ARガラス繊維は、ガラスクロスの耐アルカリ性能を向上させられる繊維です。 機械的強度と破壊靭性が高いジルコニア(ZrO2)という成分を多く含んでおり、優れた耐アルカリ性を発揮します。 ガラス繊維とコンクリートの併用を実現させたのがARガラス繊維であり、コンクリート建造物の修復剤でも活用されています。 ECRガラス繊維 Eガラスを溶解する際に、発生・揮発するホウ素とフッ素分子は、人体および環境に有害な成分であることが知られています。 ECRガラス繊維は、有害性のあるホウ素(B2O3)とフッ素分子(F2)を含まない素材です。耐蝕性(耐酸性)・耐水性・耐熱性に優れ、Eガラス以上の機械的強度と同等の電気特性を備えているため、ガラスクロスの主成分でより需要が高まることが期待されています。人にも環境にもやさしいガラス繊維ですが、酸化チタンを使用しているため調達コストが高い傾向にあります。 ガラス繊維を使用した不燃シート「フジエース」 フジエースはガラス繊維を織り込んだガラスクロスに耐火コーティングを施し、耐火性・強度を向上させた製品です。 ガラスクロスの使用用途 特性の異なるガラス繊維を加工して作られたガラスクロスは、さまざまな分野の産業で活用されています。 ここからは、ガラスクロスの使用用途について詳しく解説します。 FRTP(ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック) FRTPは、熱可塑性樹脂をガラス長繊維で補強した繊維強化プラスチックです。 以下のような分野でFRTPが使用されています。 自動車部品(バンパー、ドアハンドル、エアバッグカバー、エンジンカバーなど) 電気・電子部品(コネクター・リレー・スイッチ・プリント基板など) 機械部品(ギア、ベアリング、ブッシュ、ローラーなど) その他(スポーツ用品、医療用品、建築材料) 熱可塑性樹脂とは、加熱によって溶けて再使用できる樹脂のことで、ポリカーボネートやポリプロピレン、ABS、塩化ビニールなどが代表されます。FRTPは、上記のような熱可塑性樹脂にガラス繊維を補強材として混ぜたり、射出成形したりすることで作られます。金属と比較して軽くて強度があり、優れた耐熱性と耐摩擦性も備えています。 熱で変形しにくく寸法安定性を向上させる材料であり、FRPに並ぶ代表的な複合材料として重宝されている材料です。 FRP(ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック) FRPは、樹脂プラスチックにガラス繊維や炭素繊維などを混合させた複合材料です。 以下のような分野でFRPが使用されています。 建築材料(洗面台、浴槽、ユニットバス、浄化槽、窓枠など) 航空機・宇宙機(アルミニウム合金の代替材料) 船舶(小型船舶の船体、ボート、ヨットなど) 車両(自動車や鉄道車両の内外装など) スポーツ用品(テニスラケット、ゴルフクラブなど) その他(信号機、プリント基板、郵便ポスト、楽器など) FRPに使用されている樹脂は、不飽和ポリエステル・フェノール・エポキシ・ビニルエステルなどの熱硬化性樹脂と、ポリプロピレン・ナイロン・ABSなどの熱可塑性樹脂です。樹脂をガラス繊維で補強することで、優れた電気絶縁性・耐熱性・寸法安定性を備えています。高精度な部品や材料の製造において、非常に需要の高いガラスクロスです。 GRC(ガラス繊維強化セメント板) GRCは、従来の技術では成し得なかった、セメントまたはセメントモルタルを耐アルカリガラス繊維で補強したガラスクロスです。 以下のような分野でGRCが使用されています。 建築(外壁カーテンウォール、内壁、内外装部材、天井・軒天井、床・屋根、建築部品など) 土木(道路用、鉄道用、水管理用、農業用、産業用、景観材など) その他(モニュメント、記念像、文化財など) かつてのセメント製品よりも、軽量で耐衝撃性や曲げ強度が大幅に優れていながら、繊細で自由な造形にも対応できます。  GRCは、成形や施工が容易なことから、工期や建設コストの低減にも寄与するガラスクロスです。 FRR(ガラス繊維強化ゴム) FRRとは、表面に屈曲性を付与し、ゴムとの接着性を高める加工をしたガラス長繊維を用いてゴムを補強した複合材料のことです。 以下のような分野でFRRが使用されています。 ベルト類(タイミングベルトやコンベヤベルトなど タイヤ(カーカス層やベルト層など) ホース(エアーホースや水道ホースなど) FRRの特徴は、引っ張りの強度や耐熱性の高さです。その特性から、車両のタイヤやベルト類などの苛酷な屈曲疲労のかかる部品で活用されています。 より快適な交通を実現させるために不可欠な素材として、近年注目を集めています。 ガラスペーパー ガラスペーパーとは、ガラス繊維を主体とした湿式抄紙法やガラス繊維単体で抄紙のことです。湿式抄紙法では、ガラス繊維とパルプ・合成繊維・エンプラ繊維などを配合します。 以下のような分野でガラスペーパーが使用されています。 建材(屋根材、床材、壁紙、断熱材、防水・防蝕・防災用シートなど) 電気・電子機器(エアコン、テレビ、LED照明、アミューズメント、自動車などの基板材料や絶縁体、フィルター材など) 産業資材(下水管や電力管、各種FRP材として社会インフラや生産現場など) ガラスペーパーは、紙と比較して耐水性が高く、引っ張りに方向性がないのが特徴です。この特性から、建材やフィルターなどで活用されています。 織物 ガラス繊維を縦横に組み合わせて作った織物は、非常に幅広い用途で活用できます。 工業用資材(ダクトの保温・保冷、防水・防蝕防災用のシート材・テープ、集塵装置、アルミ濾過用など) 建材(カーテン、壁張り、防虫網など) 縦と横どちらにも強度が高いのがガラス繊維の織物の特徴です。 ガラスクロスは、加工で配合する成分や繊維によって、耐久性・耐熱性・耐水性・耐衝撃性などが異なります。産業にガラスクロスを導入する際は、どのような分野に適した特性を持っているのかを細かく調べましょう。 ガラスクロス(ガラス繊維)を使用する際の注意点 ガラスクロスを生産・製造に導入する際は、以下の注意点やデメリットも理解しておきましょう。 ガラス繊維に触れるとチクチクしたり痒くなったりすることがある ガラス繊維を加工する際に吸引する可能性がある ガラスクロスの耐熱温度は高くても250℃〜350℃くらい ガラス繊維のチクチクに関しては一時的なものであり、皮膚炎やアレルギーの原因にはなりません。また、粉塵のように吸引する可能性がありますが、人に対する発がん性が一切認められていないため安全です。ガラス繊維をガラスクロスに加工した場合は、再飛散がほとんどなく、健康に影響を与えることはありません。耐熱温度は、ガラス繊維の密度や種類によって異なりますが、一般的に250℃〜350℃とされています。したがって、製造において500℃以上や1,000℃といった耐熱温度を求める場合、ガラスクロスは適していません。 不燃シート「フジエース」なら耐熱温度が約500℃ ガラスクロスよりも耐熱性の高い不燃シートを必要とするシーンにおすすめなのが、藤森工業が開発した「フジエース」です。フジエースの特徴や使用用途を分かりやすく解説します。 耐熱温度が約500℃ フジエースは、不燃ガラス繊維織物と特殊な耐熱塗料を含浸塗工させた不燃シートです。耐熱性がガラスクロスよりも非常に優れており、約500℃までの熱に耐えることができます。耐熱遮断性や断熱性も高く、炎や煙をほとんど発生させません。 引張強度と引裂強度が高い フジエースは、引張強度と引裂強度が高く、高性能な不燃シートです。 耐久性に優れていることから、溶接・溶断作業に発生するスパッターやノロに対応でき、安全な作業環境の維持に寄与します。 柔軟性があり裁断・縫製加工が容易 優れた耐熱性・耐久性がありながら、柔軟性も備えているのがフジエースの魅力です。裁断・縫製加工が容易であるため、クライアントの要件に合わせた保護カバーや不燃間仕切りシートなどを製造できます。 発がん性なく安全に使用できる フジエースには、アスベストのように発がん性物質や有害物質が発生しません。 労働安全衛生上で非常に優れた不燃シートであり、グレードに応じて国土交通省認定や不燃材A種認定、各種認定などを取得しています。 撥水性があり屋外でも使える 撥水性を備えたフジエースは、屋内外問わず、さまざまな分野の産業やシーンで利用されています。 電設ケーブルの保護カバーや防火防炎垂れ幕、断熱ダクトカバーなど、主に工業用資材の製造で幅広く活用できます。 2種類のラインナップを用意 フジエースは、厚さや引張強度、防炎規格などが異なる2種類のラインナップで提供しています。導入を検討される際に参考にしてください。 1050mm×30m巻930mm×50m巻0.8<>td縦: 1000インストロン型引張試験 測定項目FG-4300FG-4010試験方法寸法(幅mm×巻m数)厚さ(mm)0.2マイクロメーター重量(g/m2)930400メトラー電子天秤引張強度(N/25mm)縦:1960縦:1000インストロン型引張試験引張強度(N/25mm)横:1000横:1000引張速度300mm/min引張伸度(%)縦:6縦:6つかみ間隔 200mm引張伸度(%)横:3横:2.5サンプル巾50mm引裂強度(N)縦:24.5縦:70シングルタング法引裂強度(N)横:24横:70引張速度500mm/min防炎規格JIS-A-1323-1995A種合格UL94燃焼クラスV-0相当-国土交通省不燃材適合品◯-- 産業資材の製造は藤森工業にお任せください! ガラスクロスは、高温環境に耐えられる耐熱性や優れた耐久性を持ち、幅広い産業で活用されています。 主成分となるガラス繊維の種類や配合する成分・素材によって特性が異なるため、自社製品の製造と親和性の高いものを選ぶことが重要です。 藤森工業では、ガラスクロスよりも非常に優れた耐熱性や耐熱遮断性を備えた不燃シート「フジエース」を提供しております。 発がん性物質や有害物質を含まない安全なフジエースは、撥水性や柔軟性も備えており、屋内外問わず、産業資材の製造に活用できます。 貴社の課題と目的に応じたソリューションをご提案できますので、ぜひこの機会に「藤森工業株式会社」までお問い合わせください。 ▶安全衛生面でも非常に信頼度の高い不燃シート「フジエース」の製品情報はこちら

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離型紙とは?メリット・デメリットや剥離フィルムとの違いを徹底解説

離型紙は、粘着性のある製品の保護に用いられる紙であり、さまざまな分野の製品で使用されています。 自社製品の開発に離型紙を必要とされているご担当は、離型紙の特徴から注意点まで把握し、最終製品の品質向上・維持を図れるものかを判断することが大切です。 この記事では、離型紙のメリット・デメリットから、剥離フィルムとの違いまでを徹底解説します。 離型紙とは 離型紙とは、粘着性物質を保護する際に用いられる、剥離剤をコーティングした紙のことです。 剥離剤を塗工する原紙の機能や質感により様々な用途に使われています。 離型紙の種類 離型紙に使用される原紙は、主に上質紙・グラシン紙・クラフト紙の3種類に分類されます。 上質紙 上質紙とは、表面に光沢があり、比較的平滑で滑らかな質感が特徴的な紙です。その外観的特徴を生かし、貼布薬用や医療用途、絆創膏の離型紙に多く使用されています。 グラシン紙 グラシン紙は、薄手のものには透明性が有り耐油性や耐水性に優れた紙です。上質紙やクラフト紙よりも密度が高く、剥離剤を原紙に直接塗ることができます。身近な例として調理用クッキングシートがあります。クッキングシートはグラシン紙を耐熱性の高いシリコーン剥離剤でコーティングし、オーブンの高熱下でも使えるように作られています。 クラフト紙 クラフト紙は、ドイツ語で「クラフト=強度」を名前の由来とするほど引張強度が高く、破れにくさが特徴です。コストパフォーマンスにも優れ、剥離紙の原紙として、最も汎用的に使用されている紙です。 剥離剤の分類 離型紙をコーティングする剥離剤は、主にシリコーン系とノンシリコーン系に分けられます。昨今における電子部品業界では、ノンシリコーン系の需要が高まってきています。 シリコーン系剥離剤 シリコーン系剥離剤は、シリコーン樹脂を主成分としています。 高い耐熱性・耐油性・耐水性によって化学的に安定しており、剥離性にも優れているため、非常になめらかな表面を形成できます。 ただし、シリコーン系剥離剤は、静電気の発生や塗料の密着性の低下などの問題が生じることもあるため、注意が必要です。また、シリコンオイルと呼ばれる粘着性の低い油状物質を放出し接触面に移行することがあるため、一部の製品や用途では好ましくないとされます。シリコーン樹脂が製品のみならず製造現場を汚染する可能性もあるため、敬遠されることがあります。 ノンシリコーン系剥離剤 ノンシリコーン系剥離剤は、シリコーン樹脂を使用せず、合成樹脂や脂肪族化合物などを主成分としています。 そのため、シリコーン系剥離剤に比べて、塗料や接着剤の密着性の低下が少なく、静電気の発生も少ない傾向があります。 医薬品や食品包装材料など、衛生面が重要な製品の製造に使用されることが多く、人体に対する安全性が高いことが特徴です。ただし、ノンシリコーン系剥離剤は、シリコーン系剥離剤に比べて、耐熱性や耐油性、耐水性に劣る場合があるため、用途に合わせて選定する必要があります。 離型紙のメリット 離型紙は、コストパフォーマンスやクッション性、視認性などに優れた材料です。製品の開発工程に離型紙を用いるメリットを詳しく解説します。 低コストで入手できる紙は安定した供給があり、低コストで入手できるため、離型紙は多くの産業分野で広く使用されています。 クッション性が高い繊維質でクッション性のある紙をベースとした離型紙は、加工材料の表面の保護に優れています。 またそのクッション性の高さから、打ち抜き加工への適正にも優れています。 加工物の視認性が高い離型紙は、加工物との見分けがつきやすく、識別や管理が容易になるというメリットがあります。 離型紙のデメリット 離型紙は、異物混入の可能性があることや、厳密な厚み管理が困難なことなど、複数のデメリットも存在します。 必ずデメリットを把握した上で、製造プロセスへの導入を検討しましょう。 紙粉(異物混入)一般的に紙は摩擦や断裁により紙粉が発生するため、製造プロセスに原料を紙とした剥離紙を用いることは、紙粉が混入して最終製品の品質低下の原因になる可能性があります。 厳しい異物管理を要求される場合には、剥離フィルムを選択肢に入れましょう。 透明度が低いグラシン紙など、薄手であれば透明性のあるものもありますが、上質紙やクラフト紙といった紙は透明度が無く、離型紙と接触している面の異物やキズを目視することは困難です。 吸湿する高湿度の環境下や、水分が多く含まれる製品の加工では、離型紙が吸湿して膨張する可能性があります。膨張した離型紙を使用した場合、製品に正しくフィットしなかったり、剥がす際に破れたり、剥離剤が最終製品に残留する可能性もあります。また、離型紙の表面が濡れた状態になると、製品の表面に水滴痕や汚れが付着する場合があるため、適切な湿度・環境管理が必要です。 薄いものが少ない昨今では環境配慮や輸送費の高騰により薄膜タイプのニーズが高まり、薄さと強度を兼ね備えた離型紙も増えつつありますが、基本的には、離型紙は薄いものが少ないと理解しておきましょう。 厚み管理が困難紙は、一般的には‘坪量’と呼ばれる、重量で管理をしており、厳密な厚みの管理が困難です。 厳密な厚み管理が必要な案件には、均一性を特長とする剥離フィルムを選択肢にいれましょう。 環境への負荷環境配慮への社会の意識の高まりを受けて、再生可能な資源として紙が注目されていますが、それを疑問視する声も上がっています。北アイルランド議会が2011年に発表した研究論文では「紙袋の製造には、プラスチック製レジ袋の製造の4倍以上のエネルギーが必要」なことが提示されています。また紙はプラスチックに比べて重くかさばるため、輸送燃料の消費が大きいことから、「紙の方が環境負荷が低い」と言い切ることはできません。 離型紙(剥離紙)に対する剥離フィルムのメリット 離型紙は、異物混入や貼付した状態での外観検査ができないといったデメリットが挙げられますが、剥離フィルムを代用することで解消できる場合があります。 剥離フィルムとは 離型紙と剥離フィルムは、どちらも接着剤や粘着剤などの粘着性のある材料の表面を保護するために使用されます。 剥離フィルムが離型紙と異なる点は、一般的にPET・OPP・PP・PEなどの各種プラスチックの材料を用いていることです。 剥離剤をより精密かつクリーンにコーティングした材料が使用されており、さまざまなメリットをもたらします。 ハイクリーンな材料 剥離フィルムは、クリーンな材料をクリーンな環境下で加工し製造されている製品です。原料となるプラスチックフィルムは、製造プロセスでの品質管理が非常に厳密であり、クリーンルームなどの清潔な環境下で、素材や成型時の温湿度管理なども徹底されています。 異物混入が少ない剥離フィルムは、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルムなどの樹脂素材を使用し、異物が混入しないよう工程設計された製品のため、異物混入の可能性は低いです。また、製造工程での高い品質管理により、空気中の微粒子を含む異物混入を最小限に抑えるように工夫されています。 必ずしも異物が混入しないわけではありませんが、離型紙に比べてクリーンな表面を保つことができます。 透明化できる剥離フィルムは、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムを原料としており、これらは透明に加工できる材料です。貼り付けた製品の色や形状、配置をより鮮明に確認できるため、精密電子機器や医療材料など、透明性が求められる分野で広く使用されています。 厚み管理が容易である剥離フィルムの基材となるプラスチックフィルムは、溶かした樹脂を薄く引き伸ばして作られ、厚みのムラが生じにくいため、紙と比較して厚み管理が容易です。 藤森工業が高品質な剥離フィルムをご提供します 離型紙・剥離フィルムとは、粘着性物質を保護する際に用いられる、剥離剤をコーティングしたシート状の製品であり、基材に用いる材質によって質感・透明度・耐久性などが異なります。工業製品の製造や加工、食品包装や医療用品などの幅広い分野で使用されている素材ですが、メリット・デメリットをしっかり把握した上で、製造に採用するかどうかを検討することが大切です。「藤森工業株式会社」では、透明性で異物混入が少ない、高品質で信頼性の高い剥離フィルムをご提供しております。 多層剥離フィルム(紙構成品) 藤森工業では、PET単体の剥離フィルム以外にも、紙をOPPフィルムやPETフィルムでラミネートした構成品も展開しています。 離型紙や剥離フィルムを貼り合わせたまま打ち抜き加工をする場合、離型紙ではバリと呼ばれる紙粉が出たり、離型フィルムでは打ち抜き装置に追随し被着体を傷つけたりします。紙をPETフィルムでラミネートした多層剥離フィルムは紙とプラスチックフィルムの特長を活かし、PET単層フィルムより打ち抜き適正に優れており、PEラミ剥離紙よりもバリ低減が可能です。そのためボンディングシート、カバーレイ等、打ち抜き加工性を必要とする用途に最適です。 剥離フィルムのご相談は当社までお問い合わせください。

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剥離フィルムとは?剥離紙との違い、種類や用途まで徹底解説

剥離フィルムとは 剥離フィルムは基材となるプラスチックフィルムに剥離剤をコーティングしたもので、粘着製品の粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。 この記事は、剥離フィルムの用途や、剥離剤や基材の種類などの剥離フィルムを選定する際にも重要となる要素を解説しています。 剥離紙と剥離フィルムの違い 本コラムでは「剥離フィルム」は、PETやPP、PEなどのプラスチックフィルムに剥離剤を塗布したもの、また「剥離紙」は紙に剥離剤を塗布したものと定義しています。剥離紙と剥離フィルムとでは、基材となる紙とフィルムの特性による違いが生じます。 類語として「離型フィルム」「リリースライナー」「セパレーター」などの呼び名がありますが、すべて「表面にくっついた粘着性物質を剥がせる」性能を持ったシートを意味します。 ただし、「セパレーター」は、電池・建築、その他さまざまな業界でも使われ、その場合は「剥離フィルム」ではないものを指すこともあります。 剥離フィルムの用途 剥離フィルム・剥離紙は先述の通り粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用されていますが、特に剥離フィルムは、プラスチックフィルムの「透明性」「クリーン性」を活かした用途に使われています。「透明」かつ「クリーン」であることで、剥離フィルムを貼付した状態での粘着製品の外観検査を可能にしています。 剥離フィルムは、自動車製造・電子機器製造・医療機器・食品包装などの様々な分野で利用されています。 粘着層保護用 シリコン離型フィルムは、粘着層を外部の汚れやダメージから保護する役割を果たします。 基材に粘着剤を塗布し、その上に剥離フィルムをラミネートすることで粘着層を保護することが可能です。両面粘着の場合は、粘着層の両方を保護するために剥離フィルムを使用します。 【粘着層保護用としての使用例】 •電子機器の基板やコンポーネント •プリント基板の表面や銅箔 •接着剤や粘着テープ •インクジェット印刷基材 •自己粘着ラベルやシールなど 剥離フィルムのラミネートにより、粘着剤との間にスムーズな離型層が形成されることで、剥離時に粘着剤をきれいに剥がせます。また、粘着剤の表面に付着する不要な汚れや粒子を最小限に抑えることが可能です。 キャスト用 キャスト用途では、剥離フィルムの上に樹脂やセラミックスなどの材料を塗布し、固める目的で使用されます。 一度材料が硬化した後や打ち抜き後でも、簡単に剥離フィルムを剥がすことができます。このプロセスは、薄膜の形成や精密なパターンの形成、製品の製造や加工工程において重要です。 【キャスト用としての用途例】 •ディスプレイ基板 •フィルム状の薄いシート •パッケージング材料 •キーホルダーやモデルパーツなど透明な樹脂製品 •セラミックスや陶磁器の材料 剥離フィルムによって、材料の塗布や硬化後の取り扱いが容易になる他、製品の均一な表面形成や高い離型性、保護効果などのメリットももたらします。 転写用 剥離フィルムの転写用途では、剥離フィルムの上に材料を塗布し、転写させることでグラフィックの付与やマット調の表面効果を得ることができます。 【転写用としての用途例】 •衣類やカーテンへのロゴ、イラスト、テキストの転写 •光学機器、ディスプレイ、自動車の内装パーツ、家具に対するマット調の付与 •看板、広告、ポスターに対するグラフィックデザイン •木材やプラスチックの表面への木目・石目の転写 •ネイルシールや一時的なタトゥーデザインの付与 剥離フィルムを用いた意匠性の転写は、デザインの再現性や耐久性が求められるさまざまな産業やクリエイティブな分野で活用されています。 プレス用合紙 剥離フィルムは、凹凸のある部材との熱プレス時にも使用できる耐熱性や機械的強度を備えています。 例えば、電子部品や機械部品の表面を保護しつつ、凹凸に追従することによって、加熱で緩んだ接着剤の染み出しを防ぐことが可能です。 【プレス用合紙としての用途例】 •スマートフォン、タブレット、ゲーム機、ハードディスクの部品 •自動車のドアパネルやフレーム、エンジンカバーなど •家電製品のプラスチックパネル、ボタン、ハウジングなど •セラミックス製の精密部品 上記のように自動車産業や電子機器製造、家電製品製造、医療機器製造、セラミックス産業など、さまざまな製造業界において活用されています。 シリコン離型剤が向かない用途 シリコン離型剤は、製品の加工や組み立てのプロセスによって、使用が向かない場合があります。 例えば、シリコン離型剤は表面の非粘着性が特徴であることから、塗装や接着が必要な場面では採用できません。また、シリコン離型剤は表面に残留する可能性があり、印刷の品質が低下する可能性があります。 他にも、電気機器の基盤やコンポーネントにシリコン離型剤が付着した場合、信号の干渉や機能不良の原因となるため、電子機器の組み立てには向いていません。 製品や製造プロセスによって、シリコン離型剤を採用できるかどうかが異なるため、詳細な製品情報やメーカーの指示を確認することが重要です。 剥離フィルムの基本構成 剥離フィルムは基材となるフィルムに剥離剤を塗布した製品で、剥離剤を片面塗布した基本的なものから、両面に剥離剤を塗布したもの、帯電防止層・剥離層を複層コーティングしたものがあり、剥離フィルムを使用する粘着製品の形状や使用環境によって構成を選びます。 下記では基本構成である「片面剥離」と「両面剥離」を取り上げます。 基本構成①:片面剥離 基材フィルムの片面のみに剥離剤をコーティングしたものです。帯電防止処理を施す場合もあります。主に保護フィルムやラベル・シールなどの片面だけに粘着面がある製品や樹脂成膜のキャリアシートとして使用する際に使われます。 基本構成②:両面剥離 基材フィルムの両面に剥離剤をコーティングしたものです。帯電防止処理を施したり、面ごとに異なる種類の剥離剤を塗る場合もあります。両面テープなどに用いられます。 剥離剤の種類 剥離フィルムに使われる剥離剤の種類は「シリコーン系剥離剤」「ノンシリコーン系剥離剤」「フッ素含有シリコーン系剥離剤」の三つがあります。 シリコーン剥離剤 剥離性能とカスタマイズ性が高く、様々な用途に使用されている汎用性の高い剥離剤です。 ノンシリコーン剥離剤 シリコーン不使用のため被着体へのシリコーン移行を完全に防止する剥離剤種です。フィルム上に塗った塗料の親和性(濡れ性)が良好です。 フッ素含有シリコーン剥離剤 シリコーン系にフッ素を含有させたタイプの剥離剤のため、シリコーン粘着剤と好相性の剥離剤です。 剥離フィルム・剥離紙の基材 基材を選ぶ際には材質のほか、厚みも選定基準となります。 フィルム基材(PET) 高透明タイプや着色されたもの、熱収縮率を調整されたものなど、ラインナップが豊富なため汎用的に使用されているフィルム基材です。 フィルム基材(PE,PP等) PEやPPのほか、要求性能や使用環境によりPCやPES、PEEK、PI、LCPなどを使用するケースがあります。 紙基材 グラシン紙・目止めコート紙・PEラミネート紙・PETラミネート紙などの原紙への剥離剤の浸漬を防ぐ加工が施された材料を使用します。 剥離フィルムと粘着剤の貼合方法 基材に粘着剤を塗工し乾燥後に粘着面と剥離フィルムを貼り合わせて粘着剤を保護する方法と、剥離フィルムに粘着剤を塗工する方法があります。 剥離力 「剥離力」は剥離フィルムを粘着力のあるシールやテープなどの粘着面から剥がす際に生じる抵抗を指します。主に剥離角度・剥離速度・経時変化の三つの要素により「剥離力」は変動します。 付加機能 塗料をコーティングすることにより、印刷・帯電防止・表面粗化・表面平滑化・スクラッチ防止など剥離以外の機能を付与することができます。 剥離フィルムの選び方 剥離フィルムを選ぶ際は粘着剤や塗料の材料種や製品の形状、そして必要とする性能や使用環境*を洗い出したうえで、メーカーに問い合わせると迅速に提案を受けられます。*ご使用時の加熱温度、クロスニコル検査等 藤森工業の離型フィルムのラインナップ 剥離フィルム:シリコーンタイプ PET基材の剥離フィルムです。クラス100~のクリーン環境で製造しており、様々な剥離強度のラインナップを取り揃えています。剥離面や付加機能のカスタマイズも対応しています。 剥離フィルム:ノンシリコーンタイプ シリコーン不使用のため、精密電子部品や粘着力の経時変化を心配される用途に適した剥離フィルムです。シリコーン系に比べて低い接触角を示し、優れた濡れ性を特徴としています。 剥離フィルム:フッ素タイプ シリコーン系にフッ素を含有した剥離剤をコーティングした剥離フィルムです。シリコーン系剥離剤では剥離しないシリコーン系粘着剤に適しています。 剥離フィルム:Zシリーズ シリコーン系PET基材剥離フィルムの規格品シリーズです。剥離強度と製品幅を選択し、小ロット・短納期でお受け取りいただける製品です。(剥離強度:軽~重の6タイプ/製品幅:45mm~1,020mm 剥離フィルム:マットコートタイプ コーティングによるマットコートと剥離処理を施した剥離フィルムです。サンドブラスト処理を用いないため、残渣の発生がありません。剥離剤はノンシリコーンタイプで、剥離力の調整が可能です。マット調を塗料に転写させて意匠性の付与ができます。

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無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは?次世代高速通信で無粗化銅箔が活用される利点や課題を紹介

第5世代移動通信システム(5G)に代表される大容量データの高速送受信の達成により情報化社会、スマート化社会の実現に近づいた今日、次世代高速通信に不可欠な基板材料として無粗化銅箔が注目されています。 従来の銅箔と比べて、表面が平滑で均一な無粗化銅箔は、高速通信における電子機器の性能向上に貢献する重要な材料であり、自社製品に採用したいと考える企業も多いのではないでしょうか。     この記事では、無粗化銅箔が高速通信対応の基板で活用される利点や課題をご紹介します。また、高速通信対応の基板において無粗化銅箔(導体)とプラスチックから成る絶縁材料(誘電体)の高密着性を実現した革新的な製品(「ZAC-LDC」:当社品)もご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 目次 無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは 次世代高速通信で伝送損失の減少が求められる理由 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の利点と必要性 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の課題 藤森工業が無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化に成功 藤森工業の接着剤付き銅箔:ZAC-LDCで次世代高速通信を支援 無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは 無粗化銅箔※1とは銅箔の一種であり、通常の銅箔は樹脂材料との密着性向上(アンカー効果)のため、銅箔表面に粗化形状を設けています。それに対し、無粗化銅箔は粗化形状が無い、非常に平滑な銅箔です。 ※1 粗化形状の大きさの程度により、低粗度銅箔とも呼ばれます。表面の平滑性により、信号やエネルギーの損失(伝送損失)を抑える事が期待され、次世代高速通信に対応した電子機器に使用される半導体デバイスやプリント基板などで無粗化銅箔の活用が検討されています。 無粗化銅箔は高品質な通信システムを提供するための重要な役割を担い、電子材料技術の発展において不可欠な素材として期待されています。 次世代高速通信で伝送損失の減少が求められる理由 伝送損失とは、信号やエネルギーが伝送路や媒体を通過する際に、距離に応じて減衰や散乱が生じる度合を指します。有線通信や無線通信、光通信など様々な通信技術において、伝送損失を最小限に抑えることで信号品質の向上を図ることができます。 これは高速通信や長距離通信では特に重要であり、次世代高速通信の実現においても、構成材料の伝送損失を減少させることは必要不可欠です。信号の劣化を防ぎ、高速かつ信頼性の高い通信システムの構築には、適切な材料の選択と最適化が必要になります。 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の利点と必要性 低伝送損失な通信回路の開発に、無粗化銅箔(低粗度銅箔)が必要不可欠な理由を詳しく解説します。 高速通信回路の実現 一般的な通信で使用されている信号は、周波数という波の数によって通信速度が決まります。周波数が高いほど送信できるデータ量が多いため、高速通信では高周波帯が使用されます。無粗化銅箔(低粗度銅箔)は極めて平滑な表面を持つため、特に高周波帯で優れた伝送特性を発揮することが期待されています。 高速通信では、信号の波形や位相が安定して保たれることが重要ですが、信号が流れる導体に無粗化銅箔を使用した通信回路は、極めて平滑な表面形状により、高周波帯での表皮効果※2による信号の減衰や歪みを最小限に抑えることができます。     ※2 表皮効果 導体に信号が流れる際、その信号が高周波であるほど、信号が導体の表面付近に集中する現象を「表皮効果」と言います。高周波信号を流した導体は信号の磁界によって渦電流が発生し、導体内部では信号の向きと逆方向に、導体表面では信号の向きと同方向に作用することで、高周波であるほど、信号は導体内部で打ち消され、導体表面に近い場所を通ることになります。その為、導体表面の凹凸が大きいと散乱や抵抗により、信号の損失が大きくなってしまいます。 高周波帯を使用する次世代高速通信の実現には、高周波信号を発する技術だけでなく、高周波信号の損失を抑える伝送技術が必要であり、これが平滑な導体の実用化として無粗化銅箔が求められる理由です。 導体に無粗化銅箔を用いることで信号の減衰や歪みが最小限に抑えられ、安定した高周波特性が得られます。 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の課題 無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、極めて平滑な表面を持つという特性ゆえ、プラスチックから成る絶縁材料との密着が得づらいという課題があります。また、密着したとしても強度が低い場合は温度変化などの外部要因で剥離が生じる可能性があるため、無粗化銅箔(低粗度銅箔)を部材として活用するため新たな接着技術や材料の開発が行われています。     無粗化銅箔(低粗度銅箔)に絶縁材料が密着しない理由 無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、接着性樹脂などの絶縁材料との密着が難しい材料です。 通常、接着性樹脂などの絶縁材料と銅箔との異種材料の密着メカニズムは大きく二つに分類でき、一つは樹脂内の接着性官能基と銅箔の表面処理層との化学的な結合効果、もう一つは樹脂が銅箔表面の粗化形状に入り込み固化することによる、物理的な接合効果(アンカー効果)です。しかし、無粗化銅箔(低粗度銅箔)の場合、極めて平滑な表面を持つ為、後者の物理的な接合効果(アンカー効果)が発現されません。 また、高速通信対応の基板において銅箔だけでなく接着性樹脂などの絶縁材料も、伝送損失を最小限に抑えられるよう、接着性官能基を極力減らして化学的な結合効果が得られにくい設計となってきています。 これらにより、無粗化銅箔と接着性樹脂などの絶縁材料の密着強度が低くなるため、銅箔の表面処理層の改良や銅箔上に新たにプライマー層、接着層を設けるなど、密着性を向上させる取り組みが必要とされています。 密着しても剥離してしまう原因とその対応策 無粗化銅箔(低粗度銅箔)に接着性樹脂などの絶縁材料を密着できたとしても、密着強度が十分でない場合は密着部分に温度変化や機械的な応力などの外部要因が加わることで剥離が生じる可能性があります。   この課題に対処するためには、接着剤の処方設計や貼合条件の最適化により、熱膨張係数のマッチングや熱応力の軽減などの対応策が必要です。 藤森工業が無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化 創立から100余年、革新的な技術の研究開発に取り組む藤森工業株式会社は、自社製品「接着剤付き銅箔:ZAC-LDC」の開発により、無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化を実現させました。 接着剤付き銅箔:ZAC-LDCの特徴 ZAC-LDCは、無粗化銅箔と密着性の高い低誘電接着剤を塗工し、絶縁材料とも高い密着性を有する革新的な製品です。主な用途としては、高速通信用の回路基板への使用を想定しています。 無粗化銅箔のように極めて平滑な表面を持つ銅箔でも、高い密着力を発揮できるような接着剤の樹脂設計をしており、無粗化銅箔と絶縁材料を強力に貼り合わせることができます。また、銅箔厚み・接着剤厚みを柔軟にカスタマイズすることが可能で、被着体の絶縁材料に合わせて接着剤を設計できます。ZAC-LDCが実現できることについて、さらに詳しく解説します。 低誘電特性と高密着性を両立 ZAC-LDCは密着強度向上とともに業界最高水準である誘電率:2.8、誘電正接:0.0019(at 10GHz)を誇り、これを使用することで、より高度な低伝送損失と十分な密着強度を両立することが可能です。 以下は、ZAC-LDCの代表特性です。 用途構成Dk ※3Df ※3密着強度 ※5FPC用銅箔 12μm接着剤 6μm2.670.0020.6N/mm以上PCB用銅箔 18μm接着剤 3μm2.830.0020.8N/mm以上 ※3.4 測定環境:23℃/50%RH※5 構成:銅箔/接着剤/絶縁材料/接着剤/銅箔 優れた加工適性 無粗化銅箔と絶縁材料を密着させた後の回路基板製造工程(ビア加工、エッチング、めっき等)に対しても、優れた密着性や耐薬品性から、劣化や周辺に悪影響を及ぼすことなく、加工することが可能です。 安定したはんだ耐熱性 無粗化銅箔と絶縁材料の密着性の低さは大きな課題とされていますが、接合後の部品実装においても安定した品質を維持します。300℃/10分のはんだフロート条件でも銅箔と絶縁材料が剥がれる事はありません。※社内テスト時。 藤森工業の接着剤付き銅箔:ZAC-LDCで次世代高速通信を支援 極めて平滑な表面を持つ無粗化銅箔(低粗度銅箔)は5Gや6G(第6世代移動通信システム)における新たな製品開発で注目されている材料です。無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、高周波帯において伝送損失を低減できる大きな利点がある一方で、絶縁材料との密着性が低いという課題があります。 そのような課題に直面するなかで、「藤森工業株式会社」は低伝送損失/熱硬化性接着剤を塗工した、低誘電接着剤付き無粗化銅箔「ZAC-LDC」を開発しました。 ZAC-LDCは、無粗化銅箔と絶縁材料に対して優れた密着性を保持し、絶縁材料に合わせたカスタマイズ対応が可能な製品です。 優れた伝送特性 ZAC-LDCは、低伝送損失材料としての優れた伝送特性を持っています。sub6(現在の5G通信の周波数帯)はもとより、ミリ波帯(本格的な5G通信や6G通信の周波数帯)を含めた広範囲にわたって、低伝送損失機能を発揮し、通信基地局やモバイル機器などの性能向上をアシストします。 ZAC-LDCは無粗化銅箔を採用しているため、電気信号の伝送損失を最小限に抑えられ、高周波帯での通信やデータ伝送において高い信号品質と安定性を実現します。次世代高速通信技術を駆使した、新製品の開発および機能拡充でお悩みの方は、ぜひこの機会に藤森工業までお気軽にお問い合わせください。 ZAC-LDC 資料ダウンロードはこちら

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クロメート処理とは?六価・三価クロムの違いや使用規制を徹底解説

サステナビリティ経営を目指す企業の担当者様は、自社製品の製造プロセスで環境汚染のリスクをできるだけ低減したいとお考えのことでしょう。金属の耐食性や耐摩擦性を向上させるクロメート処理において、クロムを使用した処理方法が環境を汚染しているとして、世界中で問題視されています。 そんななか、六価・三価クロムを一切排出しない使用しない完全クロムフリーへの移行が求められており、電気・電子機器や自動車業界での対応が急がれています。 この記事では、クロメート処理における六価・三価クロムの違い、使用規制などを徹底解説し、クロムフリーの実現とは何かを詳しくご紹介します。 クロメート処理とは クロメート処理とは、金属の表面に被膜を形成することで、耐食性・耐摩耗性・導電性・潤滑性などの性質を向上させる表面処理技術です。主にアルミニウムや亜鉛合金、マグネシウムなどの金属に使用される高度な技術であり、自動車部品やエレクトロニクス部品など、様々な分野で利用されています。 クロメート処理後の金属の表面は、厚い酸化皮膜に覆われて腐食を防ぐバリア効果を持ち、金属製品の寿命を延ばすことができます。 リン酸塩処理と並ぶ代表的な金属の化成処理法の一つであり、かつては六価クロム化合物を主成分とする処理液が用いられていました。 しかし、近年は六価クロム自体が有害物質であることから、2007年にEU(欧州連合)で完全禁止の指令が実施されています。そのため、現在は環境に配慮した三価クロムへ移行しており、将来的にはクロムフリーの実現が求められています。 クロムフリーの実現が求められる背景 クロムフリーへの移行とは、製品やプロセスにおいて、トリクロメタンクロムなどの有害なクロム化合物を使用しない、より環境に優しい代替物を採用することです。三価クロメート処理をクロメートフリー処理と呼ぶことがありますが、本当の意味でのクロムフリーとは、クロムを一切使用しない処理を意味します。 自動車業界やエレクトロニクス業界においては、クロムめっきを行うプロセスにおいてトリクロメタンクロムを使用することが一般的でしたが、この物質が発がん性を持つことが明らかになり、環境に与える影響も問題視されるようになりました。 六価クロメート処理から三価クロメート処理への移行が進む今でも、環境汚染の問題が指摘されており、クロムフリーな代替物の導入が進められているのが現状です。 クロメート処理とクロムめっきの違い 金属の表面処理に用いられるクロメート処理とよく混同されるのがクロムめっきですが、実際には処理方法が異なります。 クロメート処理は、酸化クロム酸を含む処理液で金属の表面を処理することで、表面に保護膜を形成し、耐食性や塩害耐性を向上させます。処理時間が短く、比較的低コストでできる反面、保護膜の厚みや耐久性に限界があります。 一方、クロムめっきは、電気めっきによって表面にクロムの皮膜を形成し、見た目や耐摩耗性を向上させる処理方法です。膜厚を厚くできるため、耐摩耗性や耐蝕性が高い反面、製造コストが高く、厚みによる歪みが生じることがあるという欠点があります。 どちらもクロムを使用した処理方法のため、取り扱いには注意が必要です。 六価クロムと三価クロムの違い 金属の表面処理に使われるクロムには六価と三価があり、人体への影響や用途に違いがあります。 六価クロムは強い毒性を持ち、さらに発がん性も指摘されています。 そのため、環境汚染の原因となることがあり、RoHS指令などで規制対象となっています。 一方、三価クロムは弱毒性であり、発がん性もないため、比較的安全とされています。 しかし、pHの低い環境下では、三価クロムが酸化して六価クロムに変化することがあります。三価クロムを使用していたつもりが、六価クロムが検出される、ということが起こり得るのです。 以下は、六価クロムと三価クロムの特徴を比較した表です。 特徴六価クロム三価クロム化学式Cr6Cr3+酸化状態63見た目黄緑色の固体緑色の固体毒性強い弱い発がん性ありなし主な用途表面処理染色腐食防止皮革のなめし染色緑色顔料RoHS規制対象対象外 六価クロムは金属の腐食防止や表面処理として、三価クロムは主に皮革のなめしや顔料として使われてきましたが、近年では三価クロムの活用シーンが広がっています。 六価クロム・三価クロムのデメリット 六価クロムから三価クロムへの移行が進んでも、クロムがもたらす数多くの環境および健康への懸念はなくなっていません。 有害物質による環境汚染 六価クロムは人体にも影響を及ぼす有害物質であり、環境汚染の原因となることもあります。 例えば、廃水や廃棄物として排出された六価クロムは、土壌や水中に浸透して生態系に影響を与えることがあります。 三価クロムの場合、六価クロムよりも有毒性も低く、環境中での移動や生物による吸収も少ないため、環境汚染のリスクは低いと言われています。しかし、pHの低い環境下では、三価クロムが酸化し六価クロムに変化することがあるため、クロムを含む廃棄物は六価・三価問わず適切な処理が必要です。 人体への健康被害 六価クロムは発がん性物質であり、長期的な曝露によって肺がん、鼻腔がん、鼻咽頭がんなどの発症のリスクを高めることが知られています。また、皮膚に接触することでアレルギー性の接触性皮膚炎を引き起こす可能性があり、呼吸器に入ることで喘息などの呼吸器系の障害のリスクも生じます。消化器まで入った場合は、胃腸の痛みや下痢、中毒症状として吐き気・頭痛・めまい・嘔吐・意識障害などのさまざまなリスクが報告されています。 六価・三価クロムの使用規制 欧州と北米の自動車産業では、1997年から環境に有害な物質の低減および使用禁止・廃止の法規制が進んでいます。他にも、中国の自動車メーカーなどが自主的に六価クロムの使用を制限しており、環境汚染問題に取り組む姿勢をみせています。 RoHS規制(特定有害物質使用制限指令) EU(欧州連合)では、RoHS規制(特定有害物質使用制限指令)を2006年7月に施行し、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限しています。その規制対象の一つであるのが六価クロムです。 つまり、EU市場に流通する電気・電子機器には、六価クロムを含むクロメート処理が施された部品の使用が制限されているということです。RoHS規制における六価クロムの規制は、防錆用途における亜鉛めっきなどの表面処理で、1車両につき2グラムを超えてはならない方針になっています。 2023年4月時点では、三価クロムはRoHS規制の対象外となっています。欧州では、自動車・電子部品・家電製品などからクロムフリーを実現する動きが活発になってきており、日本でも対応する企業が増えてきているところです。 BYDによる日本製品の使用制限 中国の自動車メーカーであり、電気自動車(EV)の製造に注力するBYD(比亜迪)は、環境保護と健康への配慮から、2016年に六価クロムを含まない表面処理剤の使用へ切り替えた企業です。 同社は日本で販売している自社の電気バスにおいて、ボトルやナットなどの金属表面のサビ防止で六価クロムが使われていることを指摘しました。その後、2008年には六価クロムを含有した日本製品の使用を禁止した事例があります。BYDは、2023年内に日野自動車を通じて新型EVバスを日本国内で納車する予定でしたが、六価クロムの使用が発覚したことから販売を凍結しています。六価クロムを使用した製品開発においては、BYDの事案のようなリスクが伴うことを理解しておかなければなりません。 その他の規制 他には、ELV指令やWEEE指令で六価クロムが有害物質に指定されています。 ELV指令は自動車に含まれる特定の有害物質、WEEE指令は廃棄された電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用制限に関する指令です。三価クロムはREACH規則によって、三価クロム含有量が0.1%を超える製品には、登録・承認が必要とされています。また、水処理法や土壌汚染対策法による三価クロムの使用制限もあるため、採用する際には十分に調べることが大事です。 完全クロムフリー移行の重要ポイント 近年、環境保護と健康への配慮がますます重要視されているなか、クロムを全く含まない、完全にクロムフリーな製品を選ぶことは、環境への負荷を減らし、安全性を高めるために欠かせない要素となっています。 三価クロムから完全クロムフリーへの移行においては、代替技術の開発と製造プロセスの見直し、品質管理が必要不可欠です。完全クロムフリーの代替技術を導入するには、コストや効率性の検証が大事になり、併せて環境への影響も評価しなければなりません。 三価クロムの脱却による品質低下を避けるためには、品質管理体制の整備と専門知識とスキルを要するリソースも必要になります。 自社だけで解決できない問題に関しては、外部の研究支援会社やソリューションを活用し、新時代の環境に配慮した完全クロムフリーを目指しましょう。 藤森工業がクロムフリーへの取り組みを支援 金属表面に特殊な溶液を塗布し、寿命や性質を向上させるクロメート処理は、六価クロムによる有害物質の排出が問題となり、今では三価クロムを使用するのが主要な方法となっています。しかし、三価クロムも毒性がないわけではなく、大量排出によって水質汚染などのリスクが生じるため、完全クロムフリーの実現が望まれているのが現状です。 藤森工業は完全クロムフリーの実現による環境保全への貢献を目指し、三価クロメート処理の代替技術の研究開発や代替品を提供しています。 RoHS指令に対応した製品の提供や、環境に配慮した製造プロセスの改善を希望される方は、ぜひこちらからご相談ください。 関連製品

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サーキュラーエコノミーについて解説―実現に必要な条件と藤森工業の取り組み

SDGs(持続可能な開発目標)で掲げられている17の世界的目標には、資源を無駄なく有効に活用し、かつ循環させて社会の仕組みを持続させていく考えも含まれています。こういった循環型社会の仕組みとして、「サーキュラーエコノミー」が注目されています。サーキュラーエコノミーの意味や従来の社会の仕組みとの違い、実現のために必要となる取り組みについて実例を交えてご紹介します。 「続けていける循環」-サーキュラ―エコノミー 「サーキュラーエコノミー」は、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みや、2022年4月のプラスチック資源循環法の施行によって注目されるようになった言葉です。SDGsで目指すのは、人の暮らしと環境の維持を両立し続けることを可能にする社会、そしてその実現に必要な要素のひとつが、サーキュラーエコノミーです。 サーキュラーは「円形の」「循環性の」を意味し、サーキュラーエコノミーは循環型経済と訳されます。ここで目指す循環とは、製品の材料やその製造過程で消費される資源のサイクルを言います。製造過程や使用後に排出される廃棄物を抑制し、資源を循環させる仕組みが実現した経済モデルのことです。将来的には、廃棄物という概念が消え、原材料だけでなく製造過程で使用するものや使用中の製品も含めたすべてのものを資源として循環させる状態を目指します。ここで重要なのは、これが経済の仕組みであるということです。個人や企業にとって経済的なメリットが生じる経済活動の一部として成立していることで、積極的かつ継続的に取り組むことが可能になります。環境配慮だけでなく経済的な循環を実現することで、持続可能な取り組みとなるという考えです。 これまでの経済モデルとの違い 経済の成長過程で行われてきた経済モデルは、大量生産・大量消費・大量廃棄を行う一方通行の直線的なシステムです。これはリニアエコノミーと言われます。環境問題と資源枯渇が問題視されたことでリサイクルやリデュース、リユースが推奨されるようになり、リニアエコノミー+3Rのモデルが取り入れられます。しかし、この方法でも資源消費・廃棄はなくならず、持続性が高いとは言えません。そこで、廃棄をなくし完全な循環を目指すサーキュラーエコノミーが提唱されました。従来の直線状の経済であるリニアエコノミーと異なり、資源から生産されたものが再び資源として循環する環状の経済がサーキュラーエコノミーです。 サーキュラーエコノミーを実現するための条件 サーキュラーエコノミーを実現する基本的な条件としては次のようなものが提唱されています。 3Rの取り組み強化リデュース・リサイクル・リユースをそれぞれ強化することで、輪をつなげた状態に近づけることができると考えられています。 資源投入量と消費量の抑制投入した資源に対してリサイクル量が釣り合わないと、直線的な経済かつ逆ピラミッド状のリニアエコノミーに近づきます。資源投入量と製品の消費量を抑制し、バランスよく循環できるようにする必要があります ストックの有効活用そのときの経済状況や世界情勢によっても、必要となる投入資源や販売量、製品の使用量には波があります。こういった増減の波を吸収できるような資源ストックの仕組み作りが必要です。 付加価値の創出・増大サーキュラーエコノミーを持続可能なものとするためには、価値を創出し経済活動の一部として成立させる必要があります。使用後の製品をリサイクルした原料や製品、またはその加工過程自体に価値を生み、すでにそこに経済活動が伴っている場合は、その価値を最大化させる仕組み作りが求められます。このように価値を大きくすることで、リサイクルに費やした生産コストも回収でき、経済活動として成立するようになります。 自然のシステムを再生イギリスに本部を置き、早くからサーキュラーエコノミーの推進に取り組むエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの原則のひとつとして自然システムの再生を提唱しています。自然界に存在する循環の仕組みを再生し、再び機能させることで自然資源を保存、または増加させ、サーキュラーエコノミーの循環も実現します。 期待される効果 資源消費の最小化と環境安定石油由来の天然資源の消費が最小化されるため、CO2排出量の削減にもつながり、脱炭素社会の実現に寄与します。 廃棄物の発生抑止現在は適切な処理がされずにごみとなってしまう「廃棄物」をも再使用することで廃棄物そのものをなくします。これにより、今も発生しているプラスチックごみの排出も抑止されます。 ビジネスの新たな競争力サーキュラーエコノミーの実現により、資源の循環に関する新たなビジネスモデルが創出され、経済的メリットを伴う循環のシステムが確立されます。こういった新たなビジネスモデルを構築することで、ビジネスにおける競争優位性の確保につながります。 取り組みは項目ごとに個別の目標を定めて これらのサーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みは、すべてを同時に推し進めるのではなく、それぞれについて個別に取り組んでいくことが有効です。企業がサーキュラーエコノミーへの転換を進める場合、企業の経営活動を続けながら新たな取り組みを進めなければなりません。現状でビジネスとして成立しているシステムを継続しながら転換を進める必要があり、すべてを同時に100%にすることは困難です。上記で紹介した条件のひとつ、またはいくつかに目標を定めて、部分的に取り組みつつ全体の効果へとつなげていくことで、サーキュラーエコノミー実現を目指します。 藤森工業の環境対応事例 単素材詰め替えパウチ「モノマテリアルパウチ」 循環型社会への貢献として、藤森工業は2030年までに廃棄物量30%削減を目標に取り組みを行っています。その内のひとつとして、リサイクルが容易で、従来の複合素材が持つ、強度物性、各種バリア性を備えたPEモノマテリアルスタンディングパウチの開発に国内で初めて成功しました。 粘着剤燃料化システム「ゲル燃焼ボイラー」 ここからは「リニアエコノミー+3R」の取り組みにはなりますが、環境負荷低減と経済性を両立させた実例をご紹介します。 産業向けや家庭用などのテープ類に使用される粘着剤は、一度固化が始まれば液状に戻ることはなく、凝固した粘着剤の大半が産業廃棄物となっているばかりか、処理費用も甚大です。現状でも、固化させる前の液状の粘着剤を燃料とする技術はあり、固形でも特殊な装置を使うことで燃料化することは可能です。しかし、液状と固形が混ざった状態の粘着剤を燃料とするのは技術的に別のプロセスを必要とするため、普及は進んでいません。 藤森工業はそこに着目し、資源の有効活用の一環としてゲル燃焼ボイラーを開発しました。このゲル燃焼ボイラーでは、固化する前の粘着剤の状態を長く保つような処理をしながら燃焼させることが可能です。完全燃焼するため黒煙や一酸化炭素が発生せず、地球環境と周辺環境に配慮した処理が可能です。また、このボイラーで粘着剤を燃焼した際に発生する熱は、回収して工場のエネルギー資源として再利用することが可能です。蒸気としてそのまま活用する方法や、熱回収発電装置と組み合わせることで、簡易的な火力発電が可能になり、電気エネルギーとしての再利用もできます。ゲル燃焼ボイラーは事業所単位で設置できるようコンパクトに設計されています。これまでは廃棄または別施設において処理されていた粘着剤廃液を、自社に設置したゲル燃焼ボイラーにより処理できるようになり、輸送に関する燃料の抑制ができトータルCO2排出量の削減にもつながります。 藤森工業では、持続可能な循環型の経済を実現する取り組みとして、ゲル燃焼ボイラーをご提案しております。ゲル燃焼ボイラーに関するお問い合わせは下記よりご連絡ください。

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光学用表面保護フィルムの選び方とは?基材・粘着剤の種類も紹介します

藤森工業では世界でトップシェアを獲得している「偏光板用保護フィルム」をはじめ、対光学フィルム用途を中心としたPET基材ベースの保護フィルムを展開しています。保護フィルムには粘着剤をシート化したもの、基材フィルムに粘着剤を塗工したものがありますが、当社は基材に粘着剤をコーティングしたタイプの保護フィルムをラインナップしています。 今回は保護フィルム選定のうえでポイントとなる基材の種類・粘着剤の種類について、ご紹介します。 基材の種類 光学用表面保護フィルムの基材として当社はPETフィルムを用いて粘着剤を塗工した製品をラインナップしています。PETフィルムは、他社で用いられているPE、PP、PET、PVC等に比べ、透明性が高く、さらに耐熱性とコストのバランスに優れています。また光学用ラインナップが数多く展開されているため、光学フィルム用基材としての採用実績も豊富です。ただし、非常に高温の工程を要する場合や熱による膨張・収縮により生じるズレを防止するためなど、使用環境により他のフィルムを基材とすることもあります。光学特性を必要とする場合のご相談も承ります。 粘着剤の種類 代表的な粘着剤には、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系などがあります。それぞれに長所と懸念点があり、貼り合わせる素材や使用シーンなどに応じて使い分けます。  長所懸念点アクリル系設計の自由度が高い低温での粘着力ウレタン系エア抜け性が良い湿度劣化(黄変)ゴム系低誘電・低透湿耐熱性シリコン系高耐熱性汚染性(移行性) アクリル系 アクリル系は材料組成を変化させることで、幅広い粘着力を発現させることが可能です。またタック性、なじみ性に優れ、汚染性が少ない特性から、多くの分野で使用されています。ただし低温での貼合時には粘着力の低下の可能性があるため、使用環境に注意が必要です。 ウレタン系 ウレタン系は柔軟性が高く、再剥離性や貼合時のエア抜け性が良いという特徴があります。粘着力の温度依存性が小さく帯電防止性も発現しやすいことから微粘着系に使われることが多い粘着剤です。弱点としては紫外線下での黄変や湿度の影響を受けやすいほか、粘着力の調整も難しい点があげられます。 ゴム系 ゴム系は被着体の選択性が低く多様な素材に接着可能で、オレフィン系のような難接着素材にも優れた粘着性を示します。難点としては耐候性や耐熱性に劣る為に変色や劣化、軟化などにより接着不良が生じやすい点があげられます。 シリコン系 シリコン特有の物性から、耐熱性や耐寒性・電気絶縁性といった多くの特性に優れており、またシリコンやフッ素といった難接着素材にも優れた粘着性を示します。一方で、粘着剤そのものが高価格であることに加え、汎用的な剥離剤が使えないといったコストアップ要素があり、特殊な用途に用いられるケースが多い粘着剤です。 藤森工業ではアクリル系を中心にラインナップしており、ウレタン系も展開しています。 以下に主力であるアクリル系粘着剤のラインナップについて紹介します。 各被着体に対する粘着力  サンプル構成:サンプル構成:基材=PET(厚み38μm)+粘着剤(厚み10μm)測定条件:剥離角度=180°剥離、剥離速度=0.3m/min.  上表は、基本となる粘着主剤に対して、添加剤を加える等の配合調整することにより、各被着体に対する粘着力をある程度の範囲で調整できることを示しています。例えば、対PETフィルムの保護フィルムとして微粘着タイプのものを検討されている場合、主剤Aを配合調整することでより粘着力が低いものにできる可能性があります。実際の保護フィルム選定では、使用する基材の選定(素材、厚みなど)や帯電防止(AS)処理などの付加機能、お客様の使用条件で求められる耐熱性などを考慮しながら設計します。 藤森工業のディスプレイ工程用・出荷用保護フィルム EWシリーズ 透明性が高く、貼合したままでの外観検査が可能な保護フィルムです。 EWシリーズのカタログは以下からダウンロード可能です。 「表面保護フィルム」に関するお問い合わせ 藤森工業では有機EL工程用保護フィルムや偏光板用保護フィルムなど各種保護フィルム製品をそろえているほか、委託加工も承ります。

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バイオマスはカーボンニュートラルに貢献する!バイオマス原料の種類と工業分野への活用

近年、世界中でSDGsの取り組みが広がっています。中でもカーボンニュートラルを意識して注目されているのがバイオマス。エネルギー資源としてだけではなく、レジ袋やパソコン部材などの製品の材料としても使用されています。本記事では、バイオマスの意味、注目されている背景について解説します。 バイオマスとは 総務省の定義では、バイオマスとは「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」とされています。「生物資源」を表すバイオ(bio)と、「質量」を表すマス(mass)を合わせた用語であり、この二つの言葉を合わせたバイオマスは「地球や人間の生活の中に多く存在し、繰り返し生成可能な生物資源」のことです。バイオマスの種類には、大きく分けて以下の3つがあります。 廃棄物系バイオマス未利用バイオマス資源作物廃棄物として発生しているバイオマス資源として利用されずに残置されているバイオマス資源として活用する目的で栽培されたバイオマス食品廃棄物、家畜排せつ物 etc.木質系:林地残材、間伐材 etc.草本系:もみ殻、ススキ etc.さとうきび、とうもろこし etc. 森林を育てるために木を間引きすると間伐材が生まれ、お米を脱穀すればもみ殻がでます。人間や家畜などの生物が食事をすれば食品廃棄物や排泄物が発生します。このように一見不要な資源も、バイオマスの原料として活用をされているのです。また、燃料や原料として利用を考えて栽培されたバイオマス資源も活用されています。 バイオマスが注目されている背景 従来の主なエネルギー資源は石炭や石油であり、これらは無限に使い続けることができない有限な資源です。一方のバイオマスは「再生可能」であることから、持続可能(サスティナブル)な資源として活躍を期待されています。また、石油資源は燃焼時にCO2を排出するので、植物資源がそれらを吸収しきれず飽和状態になり、地球からの熱放出を妨げ、地球温暖化の一因となります。この状態の打開策となるのがカーボンニュートラルです。植物資源が吸収できるCO2と、人間の生活の中で排出されるCO2とのバランスをはかり、地球全体のCO2の飽和状態を緩和するものです。 出展:農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課「バイマスをめぐる情勢について」 たとえば、バイオマス原料をエネルギーとして活用し燃焼すると、石油原料と同様にCO2が排出されますが、バイオマス原料が生成する過程で光合成によりCO2が吸収されます。これにより、排出するCO2と光合成に使用されるCO2の均衡が保たれ、カーボンニュートラルが実現されます。このように、近年の地球環境を改善するための働きかけが、バイオマスが注目されている背景となっています。 バイオマス粘着製品への活用 バイオマス原料は、エネルギー利用としてだけではなく、マテリアル利用としても期待されています。プラスチックや樹脂、アミノ酸など、あらゆる原料の代用として開発が進められています。身近な例では、テレビやパソコンのディスプレイに利用される粘着剤が挙げられます。一般的な粘着剤は石油由来のものがほとんどでしたが、バイオマス粘着剤に置き換えることで、環境負荷の低い製品を生み出すことができ、豊かな暮らしと環境保全の実現につながります。 藤森工業のバイオマス粘着製品への取り組み 藤森工業では、リサイクル材料やバイオマス素材の活用や廃棄物量削減など多面的に環境対応へ取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。その取り組みの一環として、環境対応と機能性を両立したバイオマス粘着製品の開発に注力しています。 藤森工業の環境問題への取り組みについては、藤森工業(株)HPの環境ページもあわせてご覧ください。

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リサイクル材料と再生樹脂~インフラ分野への適用~

近年、世界中が一丸となって行っているSDGsをはじめとした持続可能な社会を目指した環境問題への取り組み。特に再生材料(リサイクル材料)は、エネルギーに変換される、あるいは全く別の製品の素材として利用されています。本記事では、リサイクル材料、中でも再生樹脂がどのように生成されているのか、また再生樹脂が活用されている意外な場所についても紹介します。 リサイクル材料と再生樹脂 リサイクル材料は、廃棄物を燃やして熱エネルギーにしたり、化学合成をして他の物質に変えて再利用したり、新たなモノを作るための原料にする等の方法で活用されています。リサイクル方法の大まかな分類には「サーマルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」、「マテリアルリサイクル」があり、再生樹脂は「マテリアルリサイクル」により一度使用された樹脂を回収して再度材料として利用できる形に生成したものを指します。従来の樹脂製品は、役目を終えて廃棄されるリニアエコノミーの消費モデルにありましたが、「マテリアルリサイクル」によって、焼却燃料を含めた石油資源の消費量や廃棄物の削減が期待されているのです。 再生樹脂の応用はトンネルにも 家具・生活雑貨大手のIKEAが製品に使用するプラスチックをすべて再生樹脂あるいは再生可能な素材にすることを目標とする(参照:イケア・ジャパン株式会社公式HP)ことを発表しているように、日常生活の中で再生樹脂に接する機会は増えています。 再生樹脂の活用シーンは、身近なところ、あるいは意外な場所、たとえばトンネルにも広がり始めています。 日本のトンネルは意外なほど多い! 日本は国土の73%を山地が占める山国で、現在日本には道路だけで10,912箇所ものトンネルがあります(参照:国土交通省「道路統計年報2020」)。トンネルの建設工法には山岳工法とシールド工法の2つの種類があります。それぞれの工法の割合は、山岳工法が約60%、シールド工法が約28%(JTA2020調べ)となっています。 山岳工法として最もメジャーなものはNATM(New Austrian Tunneling Method)と呼ばれ、山岳部を掘削する際に採用されています。掘削した部分にコンクリートを吹き付け、さらに鉄骨(支保工)やロックボルトなどで補強しながら掘り進める工法です。 日本のトンネルのストック数は道路・鉄道あわせて約1.6万本、総合すると約8,000kmにも及ぶといわれます。近年でも 毎年100本程度のトンネルが造り続けられているのです。シールド工法は、地下でシールドマシンと呼ばれる掘削機を回転させながらトンネルを築造する工法で、主に市街地の地下鉄や上下水道等で採用されている工法です。大型プロジェクトとして注目されているリニア中央新幹線建設工事は、品川~名古屋間で約286kmあり、うち約200kmが山岳トンネルで、50kmがシールドトンネルで造られているのです。 再生樹脂はトンネルの防水シートにも使われる 日本中に張り巡らされたトンネルのうち、NATM工法によるトンネル建設には防水シートが多く使われています。 防水シートは、覆工面への漏水を防止したり地下水を排水したりします。また、覆工と地山のひび割れを抑止することを目的に使用されるため、覆工コンクリートを構築する一般的なNATMトンネルでは100%使用されています。この防水シートへ再生樹脂を利用することで、バージン材使用のものと比べて化石資源の使用量を大きく削減することが可能となります。 再生樹脂を利用した防水シートは事業者(国交省、地方自治体、NEXCO、JRなど)の環境保全意識の高まりを受け、防水シートの原料となるEVA樹脂や不織布(PET樹脂)がバージン材から再生材由来のものへと置き換わることが予想されます。すでに設置されているすべての防水シートに再生樹脂が取り入れられているわけではありませんが、日本のトンネルの規模からすれば、防水シート原料の再生樹脂への転換は石油資源の使用量削減に貢献します。 藤森工業の再生樹脂利用の取り組み 藤森工業では、トンネルに使用する防水シートの製品「FFシートシリーズ」を提供しています。過去40年間にわたる販売実績があり、これまで藤森グループが販売した防水シートの全長はおおよそ2,000万m(地球半周分に近い距離)にもおよびます。2010年から2020年のNATM用防水シートの平均販売シェアは約40%、これは国内トップを誇ります。 「FFシートシリーズ」では、EVA樹脂や不織布(PET樹脂)に再生樹脂を使用した製品ラインナップの拡充を進めています。FFシートラインナップについてはこちらをご覧ください。 藤森工業ではリサイクル材料やバイオマス素材の活用や廃棄物量削減など多面的に環境対応へ取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。環境対応製品や開発に関するお問い合わせも承ります。お問い合わせはこちら:https://electronics.zacros.co.jp/contact/ まとめ: 再生材料(リサイクル材料)は、廃棄物の再利用やエネルギーへ活用されています。たとえば、今後建設予定のトンネルすべてに再生樹脂が使用されるようになれば、化石資源の消費量を大幅に削減することができ、持続可能な社会の実現へ大きく貢献することができるでしょう。そして、すでにEVA樹脂や不織布(PET樹脂)の一部に再生樹脂を採用する取り組みは始まっているのです。 防水シートをはじめ、再生樹脂を利用した製品や藤森工業の環境問題への取り組みについては、藤森工業(株)HPの環境ページもあわせてご覧ください。 参考: 再生樹脂|TERAMOTO再生材料(リサイクル材料)|JEMAマテリアルリサイクルとは?種類や具体例、課題などをご紹介|EverGreen

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離型フィルム入門講座(全5回)|第5回 総括

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 最終回の今回はここまで4回に分けてご紹介してきた離型フィルムの種類や特性を総括します。 総括 1. 離型剤の種類 離型剤に接する粘着剤・接着剤などの被着体の種類により適した離型剤を選定する必要があります。(例)シリコーン系/フッ素含有シリコーン系/非シリコーン系「第1回 離型剤の種類を選ぶ」を併せてご覧ください。 2. 基材 代表的な基材例としてPETやフィルム基材(その他)、紙基材があります。各材料・グレードの特徴は「第2回 離型フィルムの基材を選ぶ」で解説しています。基材を選ぶ際には材質以外に厚みも選定基準となります。 3. 粘着剤塗工方法 基材に粘着剤を塗工し乾燥後に離型フィルムを貼り合わせて粘着剤を保護する方法と、離型フィルムに粘着剤を塗工する方法があります。 4. 剥離力 剥離力に関わる因子として、剥離角度・剥離速度・経時変化があります。「第3回 離型剤の特性を知る」で解説しています。 5. 付加機能 機能性コーティングにより、印刷・帯電防止・表面粗化・表面平滑化・スクラッチ防止など剥離以外の機能を付与することができます。 「第4回 付加機能を選ぶ」にて掲載しています。 6. その他 離型フィルムはさまざまなラインナップがあります。ご使用される環境*をお伝えいただくことで最適な離型フィルムのご提案が可能です。*ご使用時の加熱温度、クロスニコル検査等 Coffee break☕ 当社は持続可能な社会の実現に向け、様々な要求に応えられる環境対応への取り組みをおこなっています。 ・温室効果ガス排出量を削減したカーボンニュートラルな基材への切り替え・離型フィルム製造時の溶剤使用量を削減した製品開発・離型フィルムのリサイクル活動 終わりに 全5回に分けて離型フィルム入門講座をお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか。 藤森工業ではディスプレイ、電子部材、モビリティ、医療用途など幅広い分野に離型フィルムを提供しております。オーダーメイド開発対応も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ:https://electronics.zacros.co.jp/contact/藤森工業の離型フィルムラインナップ:https://electronics.zacros.co.jp/product/peeling-film/

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