コラムの記事

  • コラム

異なる種類の金属を接合する「異種金属接合」とは?注目されている背景から金属接合の種類と選び方までを解説

異種金属接合とは 「異種金属接合」とは、異なる種類の金属材料をつなぎ合わせる技術です。これに類似する「金属接合」は、異なる種類の金属だけでなく、同種の金属同士を接合する場合にも用いられます。 異種金属接合が注目される背景 「異種金属接合」は、小型化・軽量化・省エネ化のニーズの高まりを受け、ロボット・モビリティ分野で注目されています。各メーカーは製品のさらなる高機能化のため、複数の金属それぞれの性質を組み合わせた高性能・軽量かつ低コストの部品開発を推し進めています。これらの製造に必要なのが異なる金属をつなぎ合わせる「異種金属接合」です。ところが金属材料の組み合わせにより接合強度の確保に課題が生じるケースがあり、これを解決する接合方法や接合材が求められています。 例えば、EV自動車(電気自動車)の車体に使用される素材のすべてを軽量な樹脂素材に置き換えることは、現時点では不可能です。硬度のあるアルミニウム合金やマグネシウム合金、炭素繊維強化複合材料に取り換えれば車体の軽量化はできますが、材料コストや製造コストの面から実用的ではありません。そこで求められるのが、様々な金属や金属を含む複合材などを、適した部分に使用する方法であり、その技術が「異種金属接合」なのです。 異種金属接合の種類とぞれぞれの特徴・用途 異種金属接合の種類 異種金属接合は、高性能で扱いやすい製品を作るうえで必要な接合方法です。 さまざまな部材を組み合わせることで、軽量化や低コスト化といったメリットが得られます。 「異種金属接合」は大きく「化学的接合」「機械的接合」「材料的接合」の3種類に分類されます。以下ではそれぞれの特徴や主な用途をご紹介します。 化学的接合 化学的接合とは、原子やイオン、分子の間に働く力を利用したファン・デル・ワールス力やアンカー効果などを利用して、材料同士を強固に接合させる化学的接合方法です。接合に用いる材料を接着剤といいます。接着剤の起源は石器時代からといわれるほど歴史が古く、現代の異種金属接合でも利用されている接合法です。 化学的接合に使われる接着剤の代表的な種類として、以下が挙げられます。 嫌気性接着剤 紫外線硬化型接着剤 瞬間接着剤 弾性接着剤 またフィルム状のホットメルト系接着剤は以下のような特徴と用途があります。 特徴 異素材接合:金属やセラミック、フィルムなどの接合に対応しうる 軽量:仕上がりを軽く、小型化しやすい 付加機能:接着剤の成分処方を調整し付加機能をつけられる 容易な作業性:塗布・貼付するだけで接合できる メンテナンス不要 用途 あらゆる素材同士の接合 軽量化が求められるシーンでの接合 長期耐久性が求められるシーンでの接合 接着以外の付加機能が求められるシーンでの接合 機械的接合 機械的接合とは、ねじや圧力などによって接合する方法です。 ボルトやナットの2部品で締め付けて接合したり、プレス機でシャフトを穴に押し込んだりすることで、部材を接合します。そのほかに機械的接合には、焼嵌めやカシメといった方法もあります。 特徴 ねじ固定:安価に接合でき、メンテナンス時には容易に分解できる 圧力固定:強度のある異なる材質同士を接着剤と圧力で接合するため、強固な接合が可能 焼嵌め固定:機械のシャフトの接合などに使用される方法で、高温度に加熱して熱膨張を利用することで接合する カシメ固定:板形状の2枚の部品を、塑性変形を用いて接合する。接合後に分解する製品には不向き 用途 上述した接合方法のそれぞれの用途を見ていきましょう。 ねじ固定:機器全般、送電線用鉄塔、気密機械、家電製品のカバー など 圧力固定:シャフトを使う円盤状の部品、ベースへのピン立て など 焼嵌め固定: 鉄道車輪などの車輪とシャフト、工作機械焼嵌めチャック など カシメ固定:布や紙の接合、橋梁などの構造物、板金の接合 など 材料的接合 材料的接合とは、部材を溶融して接合する溶融接合や、基盤のハンダ付けなどの液相接合のような方法のことです。主に、溶融接合にはアーク溶接やガス溶接、液相接合にはハンダ付けやロウ付け、固相接合にはFSWなどがあります。 特徴 材料的接合には、以下のような特徴が挙げられます。 溶融接合:部材を溶融させることで接合する方法溶接物と電極間にアークを発生させるアーク溶接は自動化しやすいのですが、変形しやすいものです。ガス溶接は酸素とアセチレンガスを燃焼させることで金属の溶融接合を行います。その他、大電力を通電した発熱で金属を溶融する抵抗溶接や、レーザー光の照射で微細な溶接を行うレーザー溶接もあります。 液相接合:ロウ付けやハンダ付けで接合する方法融解点の低いロウなどを溶かしたり、シート状のロウを利用したりすることで、部材を融解することなく接合できます。銅とアルミニウム版、配管や自動車の熱交換部品などの接合方法に用いられる方法です。また、融解点の低いハンダは、濡れ性と表面張力で形状を維持して接合します。 固相接合:部材を溶解せずに固相状態で加熱し、さらに加圧することで接合する方法英名ではFSW(Friction Stir Welding)といいますが、これは比較的新しい技術で、部材に圧力をかけて軟化させ、別の部材と接合する方法です。 用途 自動車のフレーム 電子機器の筐体フレーム ステンレス・鉄・チタンの接合 自動車ボディーや小型精密機械部品の接合 異種金属接合方法の選び方 異種金属接合の方法にはいくつもの種類があります。どの方法を選ぶかは、製品の性質によって大きく左右されます。また、均一に接合したい、生産性の効率化を図りたいといった視点からも方法を選択する必要があります。 異種金属接合の方法の選び方のポイントとしては、以下を参考にするとよいでしょう。 耐久性 接着強度 接着剤の種類 用途への適性 藤森工業の関連製品ラインナップ 藤森工業ではフィルム状のホットメルト系接着シート「メタシール」、リチウムイオン電池のタブリード用接着フィルム「タブシール」を提供しています。 メタシール・タブシール フィルム状のホットメルト接着シートのため接合後の二次工程の加工が容易です。「メタシール」は様々な異素材を接合するシリーズで、「タブシール」はリチウムイオン電池のタブ電極を接着するため、耐電解液特性を備えています。 特徴 異なる素材の接合:金属やセラミック、フィルムなどの接合 均一な接着:厚みのバラツキを抑え、塗布ムラもなく均一に接合 加工性:フィルム状の接着剤は要望に合わせた打ち抜きが可能 対応材料 金属:SUS、アルミ、ニッケル、チタン など セラミック:ガラス、石膏、ファインセラミック など フィルム:PPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム、フッ素フィルム など サンプルのお求めは下記お問い合わせよりご連絡ください。 関連記事

  • 異種金属接合
  • 機能性粘着フィルム

OCAフィルム(光学透明粘着フィルム)とは?特徴や種類から選び方までを解説

OLED、LCDに限らず、ディスプレイは従来の長方形からフリーデザインへの流れがあります。曲面など接着剤では対応しづらい形状には、一般的にOCAと呼ばれる基材レスの粘着フィルムが注目されています。信頼性を確保しつつ、さまざまなモードのディスプレイでコントラストなどの付加価値を付与していくには、開発ができるメーカーと協力しなければなりません。そこで本コラムでは、粘着フィルムの基本的な特徴や用途から、選び方までを解説します。 OCAフィルムとは                                          日本工業規格(JIS)では、粘着テープを「基材の片面又は両面に粘着剤層を設け、ロール状に巻いたものの総称」と定義しています。ディスプレイ用に対しては使用部位によってPETフィルムや発泡体を基材とした粘着テープが使われることがありますが、表示に関係する用途では基材の透明性や位相差の問題から、基材がなく光学的に高い透明性を持つOCA(Optically-clear Adhesive)が用いられます。 OCAは、ガラスやアクリルなどを貼り合わせる部材として活用されます。例えばディスプレイは、貼り合わせたガラスやアクリルなどの部材の間に空気層があると、界面で光が反射してしまいます。OCAは、このような状態の空間に充てんして、コントラストを向上させ視認性を改善する素材なのです。また、ディスプレイの視認性を損なわないためにも、光学的に高透明な素材であることが要求される粘着素材です。OCA工法としては、フィルム状に加工された粘着剤でパネルとガラスを真空中で貼り合わせるといった手法があります。 OCAは、私たちの生活に欠かせないスマートフォン、身近な家電であるタブレット端末やパソコン、テレビ、自動車に搭載するカーナビなどのディスプレイに利用されていますので、現代の生活には欠かせない素材のひとつでもあるのです。 弊社はこのような一般的なOCAよりも、それにさまざまな特殊機能を付与したものを特徴としていることから、この製品群を粘着フィルムと称しています。 弊社の製品情報についてはこちら OCAフィルムの特徴 それでは、粘着フィルムにはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、粘着フィルムの特徴について見ていきましょう。 均一な透明性 一般的なOCAに必須である光学的な透明性を持っていることです。なぜなら、OCAには、空気層を充填するとともに、ディスプレイの視認性を損なわない性能が必要だからです。ディスプレイの光がOCAによって減少するようでは製品のクオリティを落としてしまうので、均一で高い透明性が必須であるというわけです。 光拡散性 高い透過率を維持しながら光拡散効果も持つことが拡散粘着フィルムの特徴です。選択する際には光が拡散する割合である「ヘイズ」を確認することが大切です。光を効率的に利用することで、ディスプレイの高い視認性と省エネ化を実現するのです。 屈折率調整機能 屈折率を調整することで、視認性を向上させる屈折率調整粘着フィルムもあります。素材間の屈折率差が少なくなるほど、反射ロスを抑えることができるためです。例えば、LCDとパネルの間に空気層があると、数%の反射ロスが発生してしまいますが、これを粘着フィルムによって調整するのです。 波長吸収機能 粘着フィルムで光源から特定の波長を吸収することで、豊かな色彩の再現や省エネを実現できるという特徴があります。余分な波長を吸収することで、QDフィルムなどの光変換フィルムで効率的に色変換することが可能になります。また、ブルーライトなどのカットも可能になります。 UV吸収機能 波長吸収の中でも、太陽光による劣化で黄変するのを防ぐことに特化したのが、UV吸収の特徴です。ディスプレイに侵入する紫外線をカットして紫外線劣化を防ぐため、耐光性も発揮します。 粘着フィルムの種類と用途                       ここでは、上述したような特徴を持つ粘着フィルムについて、その種類と用途を見ていきましょう。粘着フィルムには、多くのメーカーが独自の開発で生み出した種類が豊富にあります。 弊社の製品情報についてはこちら 光学粘着タイプ 光学粘着タイプの中では、耐屈曲性に優れ、屈曲する部材の変形による損傷を防ぐことができる製品が注目されています。その耐屈曲性から、フレキシブルOLEDの偏光板とカバーガラスなどの接着に適したグレードの開発を各社が進めています。また、粘着フィルム自体の厚みを極めて薄くしつつ粘着力を確保することで、フレキシブル素材の機能を活かす開発の方向もあります。 拡散粘着タイプ 拡散粘着は、LCDパネルと偏光板間に用いられることが多いタイプです。光拡散効果やヘイズの調整を付与でき、モアレ防止やコントラスト向上に効果があります。用途としては、偏光板周辺部材やLCDバックライト向けの光学フィルムの層間粘着のほか、パネル同士の貼合などにも利用することがあります。 波長吸収タイプ UVカットや特定波長吸収などの効果を持つもので、用途としてはディスプレイの耐光性向上、バックライトの光源と光変換フィルム間に貼合して不要な波長を吸収し光変換を効率的に行うなどの例が挙げられます。 低透湿タイプ 水蒸気透過性が低いのが低透湿タイプです。これは、ディスプレイの防湿効果向上につながります。用途としては、中小型LCDの狭額縁対応による偏光板のPVAの脱色防止や、OLEDにおける有機EL発光層のバリア性向上があります。 屈折率制御タイプ 屈折率制御の代表例は、ITOフィルムの骨見え対策です。タッチパネルの構成に応じたITOパターンを不可視化する効果があります。 OCAフィルムの選び方 それでは、さまざまな種類がある粘着フィルムから、適切なものの選び方を見ていきましょう。 OCAを選ぶ際には、求める機能を向上させるためにどのような技術を持っているのか、各メーカーの素材を比べる必要があります。上述したような特徴が要求を満足できるものかどうかが重要です。製品に必要な機能を持つ粘着フィルムが選択可能なことはもちろん、粘着フィルム自体の厚みや構成を選択できることなどもポイントとして確認するとよいでしょう。また、セパレーターと呼ばれる剥離フィルムへの帯電防止処理や剥離力コントロールなどは、粘着機能以上に重要となることもあります。どのようなバリエーションを持っているかも確認しておくことをおすすめします。 まとめ 粘着フィルムとは光学的に様々な機能を有する製品で、LCDやOLED自体やそれ利用した製品に活用することで、コントラストや色再現性などを向上させて表示特性を改善します。粘着フィルムを選定する場合には、製品に必要な特徴・性能を網羅していることはもちろん、製品に合わせて粘着フィルム自体の厚みを選択できるかどうかや、供給形態がロール状かシート状かなどのチェックも大切です。(藤森工業では粘着剤の形態で供給可能なグレードもございます。) また、弊社の製品には一般的なOCAの用途以外にも、粘着耐久性を持つ粘着フィルムのマスタック®TSがあります。PHC方式による固定化や高意匠性による複雑形状への対応、表面平滑性による美しい光の反射を実現した製品は、「自動車部品の樹脂化」や「塗装レス」、「加飾用途」「樹脂接合用途」などに提供しています。 詳しくは弊社の製品情報をあわせてご覧ください。

  • ディスプレイ

CONTACT お問い合わせ

事業・商品・サービスに関して
お気軽にお問い合わせください。
3営業日以内にご連絡いたします。

CONTACT お問い合わせ

事業・商品・サービスに関して
お気軽にお問い合わせください。
3営業日以内にご連絡いたします。