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リサイクル材料と再生樹脂~インフラ分野への適用~

近年、世界中が一丸となって行っているSDGsをはじめとした持続可能な社会を目指した環境問題への取り組み。特に再生材料(リサイクル材料)は、エネルギーに変換される、あるいは全く別の製品の素材として利用されています。本記事では、リサイクル材料、中でも再生樹脂がどのように生成されているのか、また再生樹脂が活用されている意外な場所についても紹介します。 リサイクル材料と再生樹脂 リサイクル材料は、廃棄物を燃やして熱エネルギーにしたり、化学合成をして他の物質に変えて再利用したり、新たなモノを作るための原料にする等の方法で活用されています。リサイクル方法の大まかな分類には「サーマルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」、「マテリアルリサイクル」があり、再生樹脂は「マテリアルリサイクル」により一度使用された樹脂を回収して再度材料として利用できる形に生成したものを指します。従来の樹脂製品は、役目を終えて廃棄されるリニアエコノミーの消費モデルにありましたが、「マテリアルリサイクル」によって、焼却燃料を含めた石油資源の消費量や廃棄物の削減が期待されているのです。 再生樹脂の応用はトンネルにも 家具・生活雑貨大手のIKEAが製品に使用するプラスチックをすべて再生樹脂あるいは再生可能な素材にすることを目標とする(参照:イケア・ジャパン株式会社公式HP)ことを発表しているように、日常生活の中で再生樹脂に接する機会は増えています。 再生樹脂の活用シーンは、身近なところ、あるいは意外な場所、たとえばトンネルにも広がり始めています。 日本のトンネルは意外なほど多い! 日本は国土の73%を山地が占める山国で、現在日本には道路だけで10,912箇所ものトンネルがあります(参照:国土交通省「道路統計年報2020」)。トンネルの建設工法には山岳工法とシールド工法の2つの種類があります。それぞれの工法の割合は、山岳工法が約60%、シールド工法が約28%(JTA2020調べ)となっています。 山岳工法として最もメジャーなものはNATM(New Austrian Tunneling Method)と呼ばれ、山岳部を掘削する際に採用されています。掘削した部分にコンクリートを吹き付け、さらに鉄骨(支保工)やロックボルトなどで補強しながら掘り進める工法です。 日本のトンネルのストック数は道路・鉄道あわせて約1.6万本、総合すると約8,000kmにも及ぶといわれます。近年でも 毎年100本程度のトンネルが造り続けられているのです。シールド工法は、地下でシールドマシンと呼ばれる掘削機を回転させながらトンネルを築造する工法で、主に市街地の地下鉄や上下水道等で採用されている工法です。大型プロジェクトとして注目されているリニア中央新幹線建設工事は、品川~名古屋間で約286kmあり、うち約200kmが山岳トンネルで、50kmがシールドトンネルで造られているのです。 再生樹脂はトンネルの防水シートにも使われる 日本中に張り巡らされたトンネルのうち、NATM工法によるトンネル建設には防水シートが多く使われています。 防水シートは、覆工面への漏水を防止したり地下水を排水したりします。また、覆工と地山のひび割れを抑止することを目的に使用されるため、覆工コンクリートを構築する一般的なNATMトンネルでは100%使用されています。この防水シートへ再生樹脂を利用することで、バージン材使用のものと比べて化石資源の使用量を大きく削減することが可能となります。 再生樹脂を利用した防水シートは事業者(国交省、地方自治体、NEXCO、JRなど)の環境保全意識の高まりを受け、防水シートの原料となるEVA樹脂や不織布(PET樹脂)がバージン材から再生材由来のものへと置き換わることが予想されます。すでに設置されているすべての防水シートに再生樹脂が取り入れられているわけではありませんが、日本のトンネルの規模からすれば、防水シート原料の再生樹脂への転換は石油資源の使用量削減に貢献します。 ZACROS株式会社の再生樹脂利用の取り組み ZACROS株式会社では、トンネルに使用する防水シートの製品「FFシートシリーズ」を提供しています。過去40年間にわたる販売実績があり、これまで藤森グループが販売した防水シートの全長はおおよそ2,000万m(地球半周分に近い距離)にもおよびます。2010年から2020年のNATM用防水シートの平均販売シェアは約40%、これは国内トップを誇ります。 「FFシートシリーズ」では、EVA樹脂や不織布(PET樹脂)に再生樹脂を使用した製品ラインナップの拡充を進めています。FFシートラインナップについてはこちらをご覧ください。 ZACROS株式会社ではリサイクル材料やバイオマス素材の活用や廃棄物量削減など多面的に環境対応へ取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。環境対応製品や開発に関するお問い合わせも承ります。お問い合わせはこちら:https://electronics.zacros.co.jp/contact/ まとめ: 再生材料(リサイクル材料)は、廃棄物の再利用やエネルギーへ活用されています。たとえば、今後建設予定のトンネルすべてに再生樹脂が使用されるようになれば、化石資源の消費量を大幅に削減することができ、持続可能な社会の実現へ大きく貢献することができるでしょう。そして、すでにEVA樹脂や不織布(PET樹脂)の一部に再生樹脂を採用する取り組みは始まっているのです。 防水シートをはじめ、再生樹脂を利用した製品やZACROS株式会社の環境問題への取り組みについては、ZACROS株式会社(株)HPの環境ページもあわせてご覧ください。 参考: 再生樹脂|TERAMOTO再生材料(リサイクル材料)|JEMAマテリアルリサイクルとは?種類や具体例、課題などをご紹介|EverGreen

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離型フィルム入門講座(全5回)|第5回 総括

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 最終回の今回はここまで4回に分けてご紹介してきた離型フィルムの種類や特性を総括します。 総括 1. 離型剤の種類 離型剤に接する粘着剤・接着剤などの被着体の種類により適した離型剤を選定する必要があります。(例)シリコーン系/フッ素含有シリコーン系/非シリコーン系「第1回 離型剤の種類を選ぶ」を併せてご覧ください。 2. 基材 代表的な基材例としてPETやフィルム基材(その他)、紙基材があります。各材料・グレードの特徴は「第2回 離型フィルムの基材を選ぶ」で解説しています。基材を選ぶ際には材質以外に厚みも選定基準となります。 3. 粘着剤塗工方法 基材に粘着剤を塗工し乾燥後に離型フィルムを貼り合わせて粘着剤を保護する方法と、離型フィルムに粘着剤を塗工する方法があります。 4. 剥離力 剥離力に関わる因子として、剥離角度・剥離速度・経時変化があります。「第3回 離型剤の特性を知る」で解説しています。 5. 付加機能 機能性コーティングにより、印刷・帯電防止・表面粗化・表面平滑化・スクラッチ防止など剥離以外の機能を付与することができます。 「第4回 付加機能を選ぶ」にて掲載しています。 6. その他 離型フィルムはさまざまなラインナップがあります。ご使用される環境*をお伝えいただくことで最適な離型フィルムのご提案が可能です。*ご使用時の加熱温度、クロスニコル検査等 Coffee break☕ 当社は持続可能な社会の実現に向け、様々な要求に応えられる環境対応への取り組みをおこなっています。 ・温室効果ガス排出量を削減したカーボンニュートラルな基材への切り替え・離型フィルム製造時の溶剤使用量を削減した製品開発・離型フィルムのリサイクル活動 終わりに 全5回に分けて離型フィルム入門講座をお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか。 ZACROS株式会社ではディスプレイ、電子部材、モビリティ、医療用途など幅広い分野に離型フィルムを提供しております。オーダーメイド開発対応も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ:https://electronics.zacros.co.jp/contact/ZACROS株式会社の離型フィルムラインナップ:https://electronics.zacros.co.jp/product/peeling-film/

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藤森工業株式会社、約130億円の設備投資で電子部材事業を強化

半導体周辺部材の生産能力を約3倍に増強 藤森工業株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:布山英士、以下「藤森工業」)は、電子部材事業拡大に向け、半導体周辺部材の開発・生産拠点である群馬県の沼田事業所及び昭和事業所に総額130億円の設備投資を行います。着工は2023年を予定。既存設備の改造により2024年から随時生産能力を拡張、さらに新規精密塗工機の稼働によって、2026年には現行の約3倍の生産能力となる予定です。この投資により下記3点の実現を図ってまいります。 世界的な需要が高まる半導体パッケージ用層間絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム®」(ABF)の増産対応 半導体市場全体の成長を支える、精密コーティングサービスの強化 未来の超スマート社会に求められる、大容量高速通信を実現する次世代製品の開発 コーポレートサイト:https://www.zacros.co.jp/ 昭和事業所 当社は、来る超スマート社会に向け、5Gによる次世代高速通信を実現する半導体周辺の部材開発に取り組んでおります。また、電子部材業界で30年以上の実績を重ねてきた精密コーティングサービスを通して培った塗加工技術、ハイクリーンな環境管理体制を常にアップデートしてきました。半導体関連市場はCAGR約9% (2020-2030)と推定され、特に、データセンターのサーバー向け及び通信ネットワーク向けの半導体パッケージ基板の基幹材料として業界標準になっている、味の素ファインテクノ株式会社様のABFの需要も伸長すると見込まれています(CAGR約18%)※1。業界全体で高まる技術・品質への要求へ応えると共に、グローバル市場の追い風をとらえた事業成長の機会として、本投資を決定しました。この投資により、半導体周辺部材の生産能力は約3倍となる見込みです。既存設備の改造及び新規精密塗工機の導入だけでなく、ハイクリーン環境での生産管理、スマート化及び環境に配慮した生産体制を構築しながら、電子部材事業の拡大に取り組んでまいります。 ※1:味の素株式会社推計 ABF出荷数量見込み(2020-2025) ■設備投資の概要 設置事業所:沼田事業所(群馬県沼田市町田町)、昭和事業所(群馬県利根郡昭和村) 投資金額:約130億円 投資内容:既存設備の改造、新規精密塗工機の導入、ハイクリーン管理、スマート化、環境に配慮した生産体制の構築 生産開始:2024年から随時(予定) ■今後の見通し本件における当期業績に与える影響は軽微であります。今後の設備導入の進捗状況等により、業績に与える影響が発生すると判断した場合には、速やかに開示をしてまいります。 ■本件に関するお問い合わせ先ZACROS株式会社 総務部TEL : 03-5804-4221URL : https://www.zacros.co.jp/contact/

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「メタシール®」特殊開発グレード(耐電解質膜ホットメルト接着剤)のご紹介

<Please scroll to the bottom of this page for the English version.> フィルム接着剤「メタシール®」の特殊開発グレードをご紹介いたします。 「メタシール®」は色々な素材に熱圧着可能なフィルム状ホットメルト接着剤です。金属との接着性が良く、長期信頼性(耐電解液性、耐水性、水蒸気バリヤ性)が優れた製品です。 この度開発した新グレード「メタシール#17」は、主に電池用シールフィルムとして販売している従来品を改良したタイプです。本グレードは【ポリイミド】や【スルフォン基を有する高分子電解質膜】に対して強く接合するという結果が得られました。接着強度測定用試料の作成には、表面濡れ性向上処理(コロナ、プラズマ処理)を用いておりません。この結果は「メタシール®」の接着性能を発揮させる為の樹脂組成設計によるものです。 厚みのラインナップは、55, 100, 150 μmの3種類よりお選びいただけます。 その他のグレードも開発を検討しておりますので、逐次お知らせいたします。本件および「メタシール®」に関する技術資料・サンプルの提供などのご要望はこちらからお問い合わせください。 メタシール® 異種素材の接合性能に長けた熱圧着タイプの接着フィルムです。ホットメルト接着剤として使用できタクトタイムが短いので作業性にも優れる製品です。その他開発グレードには、PVC用、ポリエステル用、架橋タイプ、そのそれぞれを多層化したタイプ等を多数ラインナップしています。 各種グレードの詳細なご紹介はこちらよりご覧いただけます。 詳細ページ:https://electronics.zacros.co.jp/catalog/021 メタシール使用デモ動画 / "Meta seal®" introduction video https://youtu.be/82v187I46PM?si=mP87SXzYza2uMz_d

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展示会出展のお知らせ|SAMPE Japan 先端材料技術展 2022

下記展示会への出展をお知らせいたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 日程     :2022年10月19日(水)~10月21日(金)10:00~17:00展示会名   :SAMPE Japan先端材料技術展2022会場     :東京ビッグサイト 西ホール        〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1オンライン会期 :2022年10月12日(水)~10月28日(金)オンライン会場 :SAMPE Japan 先端材料技術展2022 公式HP        (入場:登録制・無料)主催      :一般社団法人先端材料技術協会 日刊工業新聞社公式HP    :https://biz.nikkan.co.jp/eve/sampe/事前登録    :事前登録はこちら 出展製品:接着フィルム「メタシール®」、不燃シート「フジエース」、「アルミ粘着テープ」 出展ブース:コンポジットハイウェイコンソーシアム共同ブース(S-03 36番) 本展ではコンポジットハイウェイコンソーシアム共同出展として、複合材料用接着フィルム「メタシール®」、不燃シート「フジエース」、「アルミ粘着テープ」を展示いたします。 SAMPE Japan 先端材料技術展 2022 当展は自動車、航空、宇宙、エネルギーなど様々な分野における「高性能化」「高付加価値」「軽量化」「高強度化」を実現する先端材料およびその応用技術を結集し、今後の技術革新や応用分野での開発の加速をねらいとした展示会です。 SAMPE Japan 先端材料技術展 2022 公式HP:https://biz.nikkan.co.jp/eve/sampe/ ■本件に関するお問い合わせ先ZACROS株式会社 情報電子事業本部URL : https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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展示会出展のお知らせ|TPCA Show―TAIPEI― 2022

下記展示会への出展をお知らせいたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 日程  :2022年10月26日(水)~27日(木)10:00-17:00     10月28日(金)10:00~16:00展示会名:台灣電路板產業國際展覽會会場  :台北南港展覽館1館(ブース番号:N-1322)     台北市南港區經貿二路1號主催  :台灣電路板協會 (TPCA)公式HP:https://tw.tpcashow.com/事前登録:https://tpcashow.expotec.tech/Reg/login/tpca_tw 出展製品:高周波基板向け低誘電樹脂付き銅箔(CCL・FCCL用)、高伸度耐熱PI粘着テープ、マットコート非Si剥離フィルム、機能性芯材入り両面テープ、PP系熱可塑性接着フィルム、委託塗工、リサイクルPETコア、環境対応型キャリアフィルム、その他 出展概要 高周波基板向け低誘電樹脂付き銅箔(CCL・FCCL用)を展示いたします。 樹脂付き銅箔(CCL用) 主な用途:リジッド基板(CCL)向け無粗化銅箔とプリプレグの密着力向上を可能にする製品です。無粗化銅箔を使用するため、伝送損失の低減が可能となります。 樹脂付き銅箔(FCCL用) 主な用途:フレキ基板(FCCL)向け低粗化銅箔と低誘電コア材の密着性を向上させることを可能にし、市販品LCP-FCCL同等の伝送損失が得られます。 TPCA Show 2022 TPCAは、台湾の電子回路製造業の業界団体です。TPCAが主催する「台湾電子回路基板展」は、5GでPCB業界の新たな価値を再構築するための展示会です。あらゆる電子・情報通信・制御機器に使用される電子回路・実装技術や、電子基板の原材料、化学品等の展示に加え、技術情報の提供・提案をはかり、併せて電子回路業界及び関連業界全体の発展に寄与する展示会です。 参考:https://tw.tpcashow.com/ ■本件に関するお問い合わせ先ZACROS株式会社 情報電子事業本部URL : https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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離型フィルム入門講座(全5回)|第4回 付加機能を選ぶ

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 今回は第4回「付加機能を選ぶ」です。機能を付与した基材を使用することや、基材に塗料をコーティングすることにより、離型フィルムに機能を付加することができます。 機能を付与した基材の例としては、帯電防止フィルム、マットフィルム、着色フィルム等があります。基材に塗料をコーティングする場合、剥離性能に影響を及ぼす可能性もあるため、メーカーに相談の上、慎重な選定が必要となります。 印刷 平滑性が求められる用途では、離型処理面の背面への印刷をお勧めしています。離型剤と基材の間に印刷すると離型処理面の凸凹につながります。 帯電防止 離型フィルムを製造する際には除電装置を付け、フィルムの帯電を除去していますが、離型フィルムを使用する際にも再度帯電するため除電装置が必要となります。 フィルムが帯電していると、使用時にホコリを吸い寄せたり、被着体にスタティックマークがつくことがあります。離型フィルムに帯電防止処理をすることで、より帯電圧を低く抑えることが可能です。 帯電防止処理は離型処理面、離型処理背面、またはその両面に処理することが可能です。表面抵抗値109Ω/□が目安です。 表面粗化 処理方法 :・フィラーコーティング・サンドブラスト・エッチング・フィラー練りこみ フィラーコーティングは、フィラーを混合したコーティング剤を塗工し、フィルム表面に凹凸を形成します。粗さは、フィラーの形状、サイズ、添加量およびコーティング量によって決まります。他に基材への凹凸処理として、サンドブラストやエッチング加工があります。基材そのものにフィラーを練り込んで成膜したものもあります。 表面平滑化 平滑度を向上する方法としては高平滑基材の使用が一般的ですが、フィルムへのコーティングによる平滑化も可能です。 スクラッチ防止 離型フィルムを貼ったまま検査する場合、また光学製品に貼って出荷する場合は、スクラッチ防止のために、表面硬度が高く、透明性の良いハードコート剤をコーティングします。また、滑り性の良い材料を選択する場合もあります。 ZACROS株式会社の離型(剥離)フィルムラインナップはこちら お問い合わせはこちら 次回はいよいよ離型フィルム入門講座最終回「総括」です。お楽しみに!

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離型フィルム入門講座(全5回)|第3回 離型剤の特性を知る

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 第3回目の今回は「離型剤の特性を知る」。離型剤の特性を知り、用途に合わせて選定すれば、良好な剥離性能と機能を発揮できます。 離型フィルムの基本特性 1. 剥離力 剥離角度 剥離する角度によって剥離力が変わるため、評価方法として「90度剥離試験法」「180度剥離試験法」(日本工業規格JISZ0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)による)の2種類が良く使われます。 剥離速度 一般的な試験に使われる剥離速度は300mm/minです。粘着剤は粘弾性を有するため剥がす速度を上げると粘着剤が流動する時間が不足して、バネ(粘弾性)を動かす為に大きな力が必要になります。また、ある領域ではバネが切れて『バリバリ』と音がすることがあります。 経時変化 一般的に粘着剤に離型フィルムが貼り合わせられた状態では、経時で剥離力が上昇します。剥離力の変化を最小限に抑えるためには、剥がすまでの保管環境、時間を管理する必要があります。 2. 残留接着力 残留接着率とは、粘着剤本来の粘着力に対し、離型フィルムから剥がした後の粘着力を測定し、粘着力低下の程度を知る指標となるものです。離型フィルムを剥がした粘着面には、離型剤が移行し、粘着力が低下することがあります。離型フィルムの選定にあたっては、剥離力だけではなく、残留接着率への影響も確認する必要があります。 3. 密着性 基材フィルムと離型剤の密着性を確保するために、剥離処理の前にコロナ処理やアンカーコート処理を行います。 4. 耐溶剤性 離型フィルムに粘着剤を直接塗工する場合、粘着剤中の溶剤成分が離型剤に影響を及ぼすことがあるため、耐溶剤性の確認が必要です。 5. 濡れ性 離型フィルムに粘着剤を直接塗工する場合、濡れ性が悪いと粘着剤をはじきます。一般的に濡れ性の低いシリコーン離型剤では、はじいたり、オレンジピールのように凹凸ができたりすることがあり、離型剤種類や塗工量での制御が可能です。濡れ性を大きく向上させるノンシリコーン離型剤のラインナップもございます。 ZACROS株式会社の離型(剥離)フィルムラインナップはこちら お問い合わせはこちら 次回の第4回「付加機能を選ぶ」編では離型フィルムに剥離以外の機能を与えたり欠点のカバーを行う際のポイントを解説します。

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離型フィルム入門講座(全5回)|第2回 離型フィルムの基材を選ぶ

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 第2回目の今回のテーマは「離型フィルムの基材を選ぶ」。離型フィルムは基材・離型剤の層から構成されるため、離型剤と並ぶ重要な要素となる基材の選び方をご紹介します。 離型フィルムの基材の種類 前回コラム「第1回 離型剤の種類を選ぶ」では離型剤の種類・特性を解説しましたが、離型剤をコートする基材ごとにも適性があり、工業用、産業用、電気・電子用、医療・衛生用、食品、それぞれの用途に適したものをえらぶことが必要です。フィルム基材と紙基材について解説します。 フィルム基材(PET基材) フィルム基材としてはPETが汎用的に使用されています。 低熱収縮グレード離型フィルムの熱収縮率を調整することで、熱工程でのカールを抑制することができます。 高平滑グレードフィラーの影響を極力抑える処理や、低フィッシュアイ処理を施し、表面の平滑性を向上したものです。平滑性が高いフィルムをロール化するには高い技術が必要になります。 高透明グレードフィラー・キズ・異物の管理が重要です。表面処理による低ヘイズ化も可能です。 着色グレード白色・黒色顔料添加により遮光性を向上しています。 マットグレード練りこんだ粒子を表面へ析出させる 又は、サンドブラスト加工により表面を削ることで表面の凹凸を作製します。 帯電防止グレード帯電防止剤の練りこみやコーティング処理を施したものです。 フィルム基材(その他) ポリエチレン(PE)伸張性があるため被着体との追従性が良好です。 ポロプロピレン(PP)無延伸CPP:PEより耐熱、透明性に優れます。二軸延伸OPP:CPPより強度、透明性、耐熱性が高いですが反面、伸張性はありません。 その他(PC,PES,PEEK,PI,LCPなど)耐熱、耐寒性、耐衝撃性、電気的特性、減衰特性、耐薬品性、などの高い要求に応えられる反面で離型フィルムとして使用するには非常に高価です。 紙基材 グラシン紙耐油、耐水性があり、離型剤を直接コーティングできます。耐熱性、光透過に優れます。 目止めコート紙代表的なものはクレーコート、PVAコート。離型剤の目止め効果と印刷品質向上が特徴です。 PEラミネート紙防水性を備えます。PE面の表面粗さの調整ができ、ミラー、セミミラー、マットなどの選択肢があります。 PETラミネート紙平面性、寸法安定性が良く、平滑な粘着面を作ることができます。 その他(板紙、含浸紙、エンボス紙、など)特殊用途に対応した専用グレードが作られています。 Coffee break PET樹脂は今年81歳、PETフィルムの日本での生産は、1959年に開始され63年目になります。(2022年9月現在) 1835年ポリ塩化ビニル(フランス)1898年ポリエチレン (ドイツ)1938年ポリスチレン(ドイツ)1939年ナイロン(アメリカ)1941年ポリエチレンテレフタレート/PET(イギリス)1951年ポリプロピレン(イタリア) ZACROS株式会社の離型(剥離)フィルムラインナップはこちら お問い合わせはこちら 次回のテーマは『離型剤の特性を知る』。離型剤の特性を知り、用途にあわせて適切に選ぶことで粘着剤の機能を損なわずに利用することができます。

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離型フィルム入門講座(全5回)|第1回 離型剤の種類を選ぶ

「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。 第1回離型剤の種類を選ぶ第2回離型フィルムの基材を選ぶ第3回離型剤の特性を知る第4回付加機能を選ぶ第5回総括 第1回目の今回は「離型剤の種類を選ぶ」。一言で"離型剤"と言っても種類は様々、対応する粘着剤や想定される使用状況により想定される用途に合わせた適切なものを選ぶことが重要です。そこで離型剤の種類と推奨される離型剤をご紹介します。 離型剤の種類 離型剤の種類は大きく分けて3種類(シリコーン系/フッ素含有シリコーン系/非シリコーン系)があります。 シリコーン系高い離型性能を持ちカスタマイズがしやすいフッ素含有シリコーン系シリコーン粘着剤に対し、高い離型性能を発揮する非シリコーン系剥離が重いが非シリコーンのため粘着層へのシリコーン移行がない シリコーン系 シリコーン系は表面エネルギーの低い(-CH3)基が表面に出やすい構造となっており高い剥離性能を有します。(-CH3)基以外の官能基を取り入れることにより、様々な特徴を発揮します。 <例> フッ素含有シリコーン系 シリコーン系にフッ素を含有させています。シリコーン系粘着剤専用グレードです。対応するシリコーン粘着剤の種類に大きく影響を受けます。フッ素を添加することによりシリコーン同士が結合しづらくすることで、スムーズに離型しやすくします。 <例> 非シリコーン系 剥離は重くなりますが粘着層へのシリコーン移行がありません。シリコーンを嫌う電子用途や筆記性の良さから文具関係などによく使用されています。長鎖アルキルアクリレート、長鎖アルキル変性高分子などがあります。 推奨される離型剤 使用する粘着剤の種類に応じて適切な離型剤をお選びください。 粘着剤推奨離型剤ゴム系シリコーン系アクリル系シリコーン系シリコーン系フッ素含有シリコーン系非シリコーン系ウレタン系シリコーン系重離型タイプ非シリコーン系 対ゴム系粘着剤 幅広い対象に対して良好な粘着性を発揮します。ただし耐候性、耐熱性はほかの粘着剤より劣ります。流動性が良いため、投錨効果の影響に配慮が必要となります。→ シリコーン系離型剤が多く選択されています。 対アクリル系粘着剤 再離型が必要な工程用・保護用から強粘着の固定用まで幅広い物性調整が可能で、透明性、対候性、耐熱性も優秀です。電子・光学分野での用途が増えており、精密かつクリーンな対応が求められます。→ 対応できる範囲の広いシリコーン系離型剤が適しています。 対シリコーン系粘着剤 他の粘着剤では粘着しないシリコーン樹脂やフッ素樹脂にも粘着します。使用可能温度域が広く、耐薬品性、耐水性に優れています。また、微粘着タイプは貼付作業時のエア抜け性に優れている為、ディスプレイの保護用途に広く使われています。→ 側鎖にフッ素を取り入れたフッ素含有シリコーン系や、微粘着タイプの場合は非シリコーン系が選ばれるケースも多く見受けられます。 対ウレタン系粘着剤 貼付作業時のエア抜け性に優れています。糊残りなく剥がしたい再剥離用途の保護フィルムに適しています。シリコーン系に比べると耐候性などは劣りますがコスト面では有利です。→ シリコーン系重離型タイプ、または非シリコーン系が選択される場合が多いです。 その他のポイント 離型剤の分類とは別離型フィルムが使用される状況によっても考慮が必要な場合があります。 硬化後の粘着剤に離型フィルムを貼付する場合→ 粘着剤に合わせた離型剤を選択します。 離型フィルムにダイレクトコーティングする場合→ 溶剤を多く含んだ粘着剤がコーティングされることが多いため耐溶剤に優れる離型剤を選択します。 溶融した粘着剤(ホットメルト)に離型フィルムを貼付する場合→ 高温で溶融させる為、基材の耐熱性が必要となります。ホットメルト成分の種類に応じて、対応できる範囲の広いシリコーン系離型剤から選びます。 半硬化タイプ(Bステージ)接着剤を離型フィルムにコーティングする場合→ 接着剤が半硬化の場合、粘着性はとても弱い為、繊細な離型力が必要になります。電子、電気用途に多いため非シリコーン系から選択します。 Coffee break コロナ禍の中、半導体不足の為に自動車の生産が遅れるなどの問題が発生していますが、今後も拡大してゆくと考えられる「半導体」関連業界にも離型フィルムは多数使われています。 半導体から、その下流である電子、電気分野では、シリコーン移行のコンタミによる接点障害(電流が阻害される障害)が懸念されており、非シリコーンタイプの離型フィルムが注目されています。非シリコーンタイプでは、従来苦手としてきた軽剥離領域に対応できるものも開発されており、大きな発展の可能性がある分野です。次回は、離型フィルムを選定するにあたり離型剤と並ぶ重要な要素である基材について掲載します。離型フィルムは基材に離型剤をコーティングしたものなので用途に合わせて基材も選定する必要があります。 ZACROS株式会社の離型(剥離)フィルムラインナップはこちら お問い合わせはこちら

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