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無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは?次世代高速通信で無粗化銅箔が活用される利点や課題を紹介

第5世代移動通信システム(5G)に代表される大容量データの高速送受信の達成により情報化社会、スマート化社会の実現に近づいた今日、次世代高速通信に不可欠な基板材料として無粗化銅箔が注目されています。 従来の銅箔と比べて、表面が平滑で均一な無粗化銅箔は、高速通信における電子機器の性能向上に貢献する重要な材料であり、自社製品に採用したいと考える企業も多いのではないでしょうか。     この記事では、無粗化銅箔が高速通信対応の基板で活用される利点や課題をご紹介します。また、高速通信対応の基板において無粗化銅箔(導体)とプラスチックから成る絶縁材料(誘電体)の高密着性を実現した革新的な製品(「ZAC-LDC」:当社品)もご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 目次 無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは 次世代高速通信で伝送損失の減少が求められる理由 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の利点と必要性 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の課題 藤森工業が無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化に成功 藤森工業の接着剤付き銅箔:ZAC-LDCで次世代高速通信を支援 無粗化銅箔(低粗度銅箔)とは 無粗化銅箔※1とは銅箔の一種であり、通常の銅箔は樹脂材料との密着性向上(アンカー効果)のため、銅箔表面に粗化形状を設けています。それに対し、無粗化銅箔は粗化形状が無い、非常に平滑な銅箔です。 ※1 粗化形状の大きさの程度により、低粗度銅箔とも呼ばれます。表面の平滑性により、信号やエネルギーの損失(伝送損失)を抑える事が期待され、次世代高速通信に対応した電子機器に使用される半導体デバイスやプリント基板などで無粗化銅箔の活用が検討されています。 無粗化銅箔は高品質な通信システムを提供するための重要な役割を担い、電子材料技術の発展において不可欠な素材として期待されています。 次世代高速通信で伝送損失の減少が求められる理由 伝送損失とは、信号やエネルギーが伝送路や媒体を通過する際に、距離に応じて減衰や散乱が生じる度合を指します。有線通信や無線通信、光通信など様々な通信技術において、伝送損失を最小限に抑えることで信号品質の向上を図ることができます。 これは高速通信や長距離通信では特に重要であり、次世代高速通信の実現においても、構成材料の伝送損失を減少させることは必要不可欠です。信号の劣化を防ぎ、高速かつ信頼性の高い通信システムの構築には、適切な材料の選択と最適化が必要になります。 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の利点と必要性 低伝送損失な通信回路の開発に、無粗化銅箔(低粗度銅箔)が必要不可欠な理由を詳しく解説します。 高速通信回路の実現 一般的な通信で使用されている信号は、周波数という波の数によって通信速度が決まります。周波数が高いほど送信できるデータ量が多いため、高速通信では高周波帯が使用されます。無粗化銅箔(低粗度銅箔)は極めて平滑な表面を持つため、特に高周波帯で優れた伝送特性を発揮することが期待されています。 高速通信では、信号の波形や位相が安定して保たれることが重要ですが、信号が流れる導体に無粗化銅箔を使用した通信回路は、極めて平滑な表面形状により、高周波帯での表皮効果※2による信号の減衰や歪みを最小限に抑えることができます。     ※2 表皮効果 導体に信号が流れる際、その信号が高周波であるほど、信号が導体の表面付近に集中する現象を「表皮効果」と言います。高周波信号を流した導体は信号の磁界によって渦電流が発生し、導体内部では信号の向きと逆方向に、導体表面では信号の向きと同方向に作用することで、高周波であるほど、信号は導体内部で打ち消され、導体表面に近い場所を通ることになります。その為、導体表面の凹凸が大きいと散乱や抵抗により、信号の損失が大きくなってしまいます。 高周波帯を使用する次世代高速通信の実現には、高周波信号を発する技術だけでなく、高周波信号の損失を抑える伝送技術が必要であり、これが平滑な導体の実用化として無粗化銅箔が求められる理由です。 導体に無粗化銅箔を用いることで信号の減衰や歪みが最小限に抑えられ、安定した高周波特性が得られます。 無粗化銅箔(低粗度銅箔)の課題 無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、極めて平滑な表面を持つという特性ゆえ、プラスチックから成る絶縁材料との密着が得づらいという課題があります。また、密着したとしても強度が低い場合は温度変化などの外部要因で剥離が生じる可能性があるため、無粗化銅箔(低粗度銅箔)を部材として活用するため新たな接着技術や材料の開発が行われています。     無粗化銅箔(低粗度銅箔)に絶縁材料が密着しない理由 無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、接着性樹脂などの絶縁材料との密着が難しい材料です。 通常、接着性樹脂などの絶縁材料と銅箔との異種材料の密着メカニズムは大きく二つに分類でき、一つは樹脂内の接着性官能基と銅箔の表面処理層との化学的な結合効果、もう一つは樹脂が銅箔表面の粗化形状に入り込み固化することによる、物理的な接合効果(アンカー効果)です。しかし、無粗化銅箔(低粗度銅箔)の場合、極めて平滑な表面を持つ為、後者の物理的な接合効果(アンカー効果)が発現されません。 また、高速通信対応の基板において銅箔だけでなく接着性樹脂などの絶縁材料も、伝送損失を最小限に抑えられるよう、接着性官能基を極力減らして化学的な結合効果が得られにくい設計となってきています。 これらにより、無粗化銅箔と接着性樹脂などの絶縁材料の密着強度が低くなるため、銅箔の表面処理層の改良や銅箔上に新たにプライマー層、接着層を設けるなど、密着性を向上させる取り組みが必要とされています。 密着しても剥離してしまう原因とその対応策 無粗化銅箔(低粗度銅箔)に接着性樹脂などの絶縁材料を密着できたとしても、密着強度が十分でない場合は密着部分に温度変化や機械的な応力などの外部要因が加わることで剥離が生じる可能性があります。   この課題に対処するためには、接着剤の処方設計や貼合条件の最適化により、熱膨張係数のマッチングや熱応力の軽減などの対応策が必要です。 藤森工業が無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化 創立から100余年、革新的な技術の研究開発に取り組む藤森工業株式会社は、自社製品「接着剤付き銅箔:ZAC-LDC」の開発により、無粗化銅箔と絶縁材料の高密着化を実現させました。 接着剤付き銅箔:ZAC-LDCの特徴 ZAC-LDCは、無粗化銅箔と密着性の高い低誘電接着剤を塗工し、絶縁材料とも高い密着性を有する革新的な製品です。主な用途としては、高速通信用の回路基板への使用を想定しています。 無粗化銅箔のように極めて平滑な表面を持つ銅箔でも、高い密着力を発揮できるような接着剤の樹脂設計をしており、無粗化銅箔と絶縁材料を強力に貼り合わせることができます。また、銅箔厚み・接着剤厚みを柔軟にカスタマイズすることが可能で、被着体の絶縁材料に合わせて接着剤を設計できます。ZAC-LDCが実現できることについて、さらに詳しく解説します。 低誘電特性と高密着性を両立 ZAC-LDCは密着強度向上とともに業界最高水準である誘電率:2.8、誘電正接:0.0019(at 10GHz)を誇り、これを使用することで、より高度な低伝送損失と十分な密着強度を両立することが可能です。 以下は、ZAC-LDCの代表特性です。 用途構成Dk ※3Df ※3密着強度 ※5FPC用銅箔 12μm接着剤 6μm2.670.0020.6N/mm以上PCB用銅箔 18μm接着剤 3μm2.830.0020.8N/mm以上 ※3.4 測定環境:23℃/50%RH※5 構成:銅箔/接着剤/絶縁材料/接着剤/銅箔 優れた加工適性 無粗化銅箔と絶縁材料を密着させた後の回路基板製造工程(ビア加工、エッチング、めっき等)に対しても、優れた密着性や耐薬品性から、劣化や周辺に悪影響を及ぼすことなく、加工することが可能です。 安定したはんだ耐熱性 無粗化銅箔と絶縁材料の密着性の低さは大きな課題とされていますが、接合後の部品実装においても安定した品質を維持します。300℃/10分のはんだフロート条件でも銅箔と絶縁材料が剥がれる事はありません。※社内テスト時。 藤森工業の接着剤付き銅箔:ZAC-LDCで次世代高速通信を支援 極めて平滑な表面を持つ無粗化銅箔(低粗度銅箔)は5Gや6G(第6世代移動通信システム)における新たな製品開発で注目されている材料です。無粗化銅箔(低粗度銅箔)は、高周波帯において伝送損失を低減できる大きな利点がある一方で、絶縁材料との密着性が低いという課題があります。 そのような課題に直面するなかで、「藤森工業株式会社」は低伝送損失/熱硬化性接着剤を塗工した、低誘電接着剤付き無粗化銅箔「ZAC-LDC」を開発しました。 ZAC-LDCは、無粗化銅箔と絶縁材料に対して優れた密着性を保持し、絶縁材料に合わせたカスタマイズ対応が可能な製品です。 優れた伝送特性 ZAC-LDCは、低伝送損失材料としての優れた伝送特性を持っています。sub6(現在の5G通信の周波数帯)はもとより、ミリ波帯(本格的な5G通信や6G通信の周波数帯)を含めた広範囲にわたって、低伝送損失機能を発揮し、通信基地局やモバイル機器などの性能向上をアシストします。 ZAC-LDCは無粗化銅箔を採用しているため、電気信号の伝送損失を最小限に抑えられ、高周波帯での通信やデータ伝送において高い信号品質と安定性を実現します。次世代高速通信技術を駆使した、新製品の開発および機能拡充でお悩みの方は、ぜひこの機会に藤森工業までお気軽にお問い合わせください。 ZAC-LDC 資料ダウンロードはこちら

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展示会出展のお知らせ|エヌプラス(N-Plus)2023

下記展示会への出展をお知らせいたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 日程    :2023年9月13日(水)~9月15日(金 )10:00-17:00展示会名  :エヌプラス(N-Plus)2023会場    :東京ビッグサイト 南3ホール      〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1主催    :エヌプラス実行委員会 / フライングカーテクノロジー実行委員会公式HP  :https://www.n-plus.biz/事前来場登録:https://www.tenjikai-uketsuke.com/form/n-plus2023/visitor/出展製品  :接着フィルム「メタシール®」出展ブース :コンポジットハイウェイコンソーシアム共同ブース(F-08) 当社はコンポジットハイウェイコンソーシアム共同出展として、複合材料用接着フィルム「メタシール®」を展示いたします。サンプル材料や、接着複合品サンプルもお手に取ってご覧いただけます。 接着フィルム:メタシール® 当社のラミネート技術から開発されたメタシールは、異種素材の接着が可能なため、多種用途の接合に利用できます。ホットメルト接着剤をシート化した製品なので、タクトタイムが短く、作業性も良好です。 製品詳細:https://electronics.zacros.co.jp/product/fastening-film/ エヌプラス(N-Plus)2023 本展はものづくりにおける課題解決からサステナビリティ分野、空飛ぶクルマ分野まで、旬なキーワードを冠した全12の専門展示会で構成された複合展示会です。 ■本件に関するお問い合わせ先藤森工業株式会社 情報電子事業本部URL : https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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クロメート処理とは?六価・三価クロムの違いや使用規制を徹底解説

サステナビリティ経営を目指す企業の担当者様は、自社製品の製造プロセスで環境汚染のリスクをできるだけ低減したいとお考えのことでしょう。金属の耐食性や耐摩擦性を向上させるクロメート処理において、クロムを使用した処理方法が環境を汚染しているとして、世界中で問題視されています。 そんななか、六価・三価クロムを一切排出しない使用しない完全クロムフリーへの移行が求められており、電気・電子機器や自動車業界での対応が急がれています。 この記事では、クロメート処理における六価・三価クロムの違い、使用規制などを徹底解説し、クロムフリーの実現とは何かを詳しくご紹介します。 クロメート処理とは クロメート処理とは、金属の表面に被膜を形成することで、耐食性・耐摩耗性・導電性・潤滑性などの性質を向上させる表面処理技術です。主にアルミニウムや亜鉛合金、マグネシウムなどの金属に使用される高度な技術であり、自動車部品やエレクトロニクス部品など、様々な分野で利用されています。 クロメート処理後の金属の表面は、厚い酸化皮膜に覆われて腐食を防ぐバリア効果を持ち、金属製品の寿命を延ばすことができます。 リン酸塩処理と並ぶ代表的な金属の化成処理法の一つであり、かつては六価クロム化合物を主成分とする処理液が用いられていました。 しかし、近年は六価クロム自体が有害物質であることから、2007年にEU(欧州連合)で完全禁止の指令が実施されています。そのため、現在は環境に配慮した三価クロムへ移行しており、将来的にはクロムフリーの実現が求められています。 クロムフリーの実現が求められる背景 クロムフリーへの移行とは、製品やプロセスにおいて、トリクロメタンクロムなどの有害なクロム化合物を使用しない、より環境に優しい代替物を採用することです。三価クロメート処理をクロメートフリー処理と呼ぶことがありますが、本当の意味でのクロムフリーとは、クロムを一切使用しない処理を意味します。 自動車業界やエレクトロニクス業界においては、クロムめっきを行うプロセスにおいてトリクロメタンクロムを使用することが一般的でしたが、この物質が発がん性を持つことが明らかになり、環境に与える影響も問題視されるようになりました。 六価クロメート処理から三価クロメート処理への移行が進む今でも、環境汚染の問題が指摘されており、クロムフリーな代替物の導入が進められているのが現状です。 クロメート処理とクロムめっきの違い 金属の表面処理に用いられるクロメート処理とよく混同されるのがクロムめっきですが、実際には処理方法が異なります。 クロメート処理は、酸化クロム酸を含む処理液で金属の表面を処理することで、表面に保護膜を形成し、耐食性や塩害耐性を向上させます。処理時間が短く、比較的低コストでできる反面、保護膜の厚みや耐久性に限界があります。 一方、クロムめっきは、電気めっきによって表面にクロムの皮膜を形成し、見た目や耐摩耗性を向上させる処理方法です。膜厚を厚くできるため、耐摩耗性や耐蝕性が高い反面、製造コストが高く、厚みによる歪みが生じることがあるという欠点があります。 どちらもクロムを使用した処理方法のため、取り扱いには注意が必要です。 六価クロムと三価クロムの違い 金属の表面処理に使われるクロムには六価と三価があり、人体への影響や用途に違いがあります。 六価クロムは強い毒性を持ち、さらに発がん性も指摘されています。 そのため、環境汚染の原因となることがあり、RoHS指令などで規制対象となっています。 一方、三価クロムは弱毒性であり、発がん性もないため、比較的安全とされています。 しかし、pHの低い環境下では、三価クロムが酸化して六価クロムに変化することがあります。三価クロムを使用していたつもりが、六価クロムが検出される、ということが起こり得るのです。 以下は、六価クロムと三価クロムの特徴を比較した表です。 特徴六価クロム三価クロム化学式Cr6Cr3+酸化状態63見た目黄緑色の固体緑色の固体毒性強い弱い発がん性ありなし主な用途表面処理染色腐食防止皮革のなめし染色緑色顔料RoHS規制対象対象外 六価クロムは金属の腐食防止や表面処理として、三価クロムは主に皮革のなめしや顔料として使われてきましたが、近年では三価クロムの活用シーンが広がっています。 六価クロム・三価クロムのデメリット 六価クロムから三価クロムへの移行が進んでも、クロムがもたらす数多くの環境および健康への懸念はなくなっていません。 有害物質による環境汚染 六価クロムは人体にも影響を及ぼす有害物質であり、環境汚染の原因となることもあります。 例えば、廃水や廃棄物として排出された六価クロムは、土壌や水中に浸透して生態系に影響を与えることがあります。 三価クロムの場合、六価クロムよりも有毒性も低く、環境中での移動や生物による吸収も少ないため、環境汚染のリスクは低いと言われています。しかし、pHの低い環境下では、三価クロムが酸化し六価クロムに変化することがあるため、クロムを含む廃棄物は六価・三価問わず適切な処理が必要です。 人体への健康被害 六価クロムは発がん性物質であり、長期的な曝露によって肺がん、鼻腔がん、鼻咽頭がんなどの発症のリスクを高めることが知られています。また、皮膚に接触することでアレルギー性の接触性皮膚炎を引き起こす可能性があり、呼吸器に入ることで喘息などの呼吸器系の障害のリスクも生じます。消化器まで入った場合は、胃腸の痛みや下痢、中毒症状として吐き気・頭痛・めまい・嘔吐・意識障害などのさまざまなリスクが報告されています。 六価・三価クロムの使用規制 欧州と北米の自動車産業では、1997年から環境に有害な物質の低減および使用禁止・廃止の法規制が進んでいます。他にも、中国の自動車メーカーなどが自主的に六価クロムの使用を制限しており、環境汚染問題に取り組む姿勢をみせています。 RoHS規制(特定有害物質使用制限指令) EU(欧州連合)では、RoHS規制(特定有害物質使用制限指令)を2006年7月に施行し、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限しています。その規制対象の一つであるのが六価クロムです。 つまり、EU市場に流通する電気・電子機器には、六価クロムを含むクロメート処理が施された部品の使用が制限されているということです。RoHS規制における六価クロムの規制は、防錆用途における亜鉛めっきなどの表面処理で、1車両につき2グラムを超えてはならない方針になっています。 2023年4月時点では、三価クロムはRoHS規制の対象外となっています。欧州では、自動車・電子部品・家電製品などからクロムフリーを実現する動きが活発になってきており、日本でも対応する企業が増えてきているところです。 BYDによる日本製品の使用制限 中国の自動車メーカーであり、電気自動車(EV)の製造に注力するBYD(比亜迪)は、環境保護と健康への配慮から、2016年に六価クロムを含まない表面処理剤の使用へ切り替えた企業です。 同社は日本で販売している自社の電気バスにおいて、ボトルやナットなどの金属表面のサビ防止で六価クロムが使われていることを指摘しました。その後、2008年には六価クロムを含有した日本製品の使用を禁止した事例があります。BYDは、2023年内に日野自動車を通じて新型EVバスを日本国内で納車する予定でしたが、六価クロムの使用が発覚したことから販売を凍結しています。六価クロムを使用した製品開発においては、BYDの事案のようなリスクが伴うことを理解しておかなければなりません。 その他の規制 他には、ELV指令やWEEE指令で六価クロムが有害物質に指定されています。 ELV指令は自動車に含まれる特定の有害物質、WEEE指令は廃棄された電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用制限に関する指令です。三価クロムはREACH規則によって、三価クロム含有量が0.1%を超える製品には、登録・承認が必要とされています。また、水処理法や土壌汚染対策法による三価クロムの使用制限もあるため、採用する際には十分に調べることが大事です。 完全クロムフリー移行の重要ポイント 近年、環境保護と健康への配慮がますます重要視されているなか、クロムを全く含まない、完全にクロムフリーな製品を選ぶことは、環境への負荷を減らし、安全性を高めるために欠かせない要素となっています。 三価クロムから完全クロムフリーへの移行においては、代替技術の開発と製造プロセスの見直し、品質管理が必要不可欠です。完全クロムフリーの代替技術を導入するには、コストや効率性の検証が大事になり、併せて環境への影響も評価しなければなりません。 三価クロムの脱却による品質低下を避けるためには、品質管理体制の整備と専門知識とスキルを要するリソースも必要になります。 自社だけで解決できない問題に関しては、外部の研究支援会社やソリューションを活用し、新時代の環境に配慮した完全クロムフリーを目指しましょう。 藤森工業がクロムフリーへの取り組みを支援 金属表面に特殊な溶液を塗布し、寿命や性質を向上させるクロメート処理は、六価クロムによる有害物質の排出が問題となり、今では三価クロムを使用するのが主要な方法となっています。しかし、三価クロムも毒性がないわけではなく、大量排出によって水質汚染などのリスクが生じるため、完全クロムフリーの実現が望まれているのが現状です。 藤森工業は完全クロムフリーの実現による環境保全への貢献を目指し、三価クロメート処理の代替技術の研究開発や代替品を提供しています。 RoHS指令に対応した製品の提供や、環境に配慮した製造プロセスの改善を希望される方は、ぜひこちらからご相談ください。 関連製品

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展示会出展のお知らせ|日本ものづくりワールド

下記展示会への出展をお知らせいたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 「第35回 日本ものづくりワールド」 日程   : 2023年6月21日(水)~23日(金) 10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)展示会名 : 第35回 ものづくりワールド 機械要素技術展会場   : 東京ビッグサイト       〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1出展ブース: ダイセルミライズブース共同出展主催   : Rx Japan株式会社公式HP  : https://www.manufacturing-world.jp/tokyo/ja-jp.html出展製品 : 接着フィルム「メタシール®」 接着フィルム:メタシール® 当社のラミネート技術から開発されたメタシールは、異種素材の接着が可能なため、多種用途の接合に利用できます。ホットメルト接着剤をシート化した製品なので、タクトタイムが短く、作業性も良好です。 製品詳細:https://electronics.zacros.co.jp/product/fastening-film/ 第35回 日本ものづくりワールド 日本 ものづくり ワールドは、10の専門展で構成される日本最大級の製造業の展示会です。IT、DX製品、部品、設備、装置、計測製品などを扱う企業が世界中から出展し、設計、開発、製造、生産技術、購買、情報システム部門の方々と活発に商談が行われます。 ■本件に関するお問い合わせ先 藤森工業株式会社 情報電子事業本部URL : https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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光学用アクリル粘着剤「ZBA-1」 業界初のバイオマスマーク取得のお知らせ

藤森工業株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:布山英士)は、新開発の光学用アクリル粘着剤で、一般社団法人日本有機資源協会が規定するバイオマスマーク※1を取得しました。 当社のバイオマス粘着剤は高濃度のバイオマス原料を配合したアクリル粘着剤です。幅広い粘着力・透明性を併せ持ち、光学透明性のあるタイプにも対応しています。光学透明性を持つ粘着剤のバイオマスマークの取得は当社品が初めてとなります(2023年5月12日時点、当社調べ)。バイオマス粘着剤のラインナップ拡充とともに、当社の塗加工技術を活用したバイオマス粘着製品の上市へ向けた製品開発を推進いたします。 品名認定番号バイオマス度ヘイズZBA-122035830%0.7% 当社バイオマス粘着剤ラインアップの詳細はこちら 当社はサステナブルな社会の実現に向け、気候変動への対応を推進するとともに、石化由来原料依存からの脱却をめざして、CO2 排出量削減・カーボンニュートラルに寄与する製品開発を積極的に進めています。以前より、従来の石化由来の粘着剤と比較して大気中のCO2濃度増加を抑制するバイオマス由来原料の粘着剤の開発に取り組み、幅広い性能・用途のラインアップを拡充してまいりました。この度バイオマスマークを取得した「ZBA-1」は、光学用途にも使用可能な高い透明性を保有する、業界初の粘着剤です。 人に、地球に、やさしい企業であるために。今後も環境配慮型製品の開発・活用提案に取り組んでまいります。 ※1バイオマスマーク一般社団法人日本有機資源協会が認定した製品にのみ使用できるマークです。生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質及び安全性が関連する法規、基準、規格等に適合している環境商品の目印となります。 ■本件に関するお問い合わせ先藤森工業株式会社 総務部TEL : 03-5804-4221URL  : https://www.zacros.co.jp/contact/ 関連製品

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展示会出展のお知らせ|JPCA Show 2023

下記展示会への出展をお知らせいたします。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 日程:2023年5月31日(水)~6月2日(金)10:00~17:00展示会名:電子機器トータルソリューション展 JPCA Show 2023 2023プリント配線板技術展 PWB Tech2023会場:東京ビッグサイト 東6ホール(小間番号 6A-01)主催:一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)公式HP:https://www.jpcashow.com/show2023/事前登録:https://jpca2023.jcdbizmatch.jp/jp/Registration出展製品:樹脂付き銅箔、FCCL、剥離フィルム(フイルムバイナ)、委託塗工 その他 当社は30年来、光学・半導体業界で培った技術を元に、次世代高速通信の実現を推進する部材の開発を進めています。最先端基板材料と高速伝送用銅箔との密着性を持つ樹脂付き銅箔「ZAC-LDC」、および低誘電ポリイミド(Df値:0.0025)を用いたFCCLを展示いたします。 電子機器トータルソリューション展 本展示会は、5G/5G+などの通信、インフラ(ネットワーク、再生可能エネルギー、データセンターなど)、次世代自動車、ロボット、ウェアラブル、センサー、医療・ヘルスケアなどを具現化する技術の総合展示会です。 主催するJPCAは、国内唯一の電子回路製造業の業界団体です。 ■本件に関するお問い合わせ先藤森工業株式会社 情報電子事業本部URL : https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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サーキュラーエコノミーについて解説―実現に必要な条件と藤森工業の取り組み

SDGs(持続可能な開発目標)で掲げられている17の世界的目標には、資源を無駄なく有効に活用し、かつ循環させて社会の仕組みを持続させていく考えも含まれています。こういった循環型社会の仕組みとして、「サーキュラーエコノミー」が注目されています。サーキュラーエコノミーの意味や従来の社会の仕組みとの違い、実現のために必要となる取り組みについて実例を交えてご紹介します。 「続けていける循環」-サーキュラ―エコノミー 「サーキュラーエコノミー」は、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みや、2022年4月のプラスチック資源循環法の施行によって注目されるようになった言葉です。SDGsで目指すのは、人の暮らしと環境の維持を両立し続けることを可能にする社会、そしてその実現に必要な要素のひとつが、サーキュラーエコノミーです。 サーキュラーは「円形の」「循環性の」を意味し、サーキュラーエコノミーは循環型経済と訳されます。ここで目指す循環とは、製品の材料やその製造過程で消費される資源のサイクルを言います。製造過程や使用後に排出される廃棄物を抑制し、資源を循環させる仕組みが実現した経済モデルのことです。将来的には、廃棄物という概念が消え、原材料だけでなく製造過程で使用するものや使用中の製品も含めたすべてのものを資源として循環させる状態を目指します。ここで重要なのは、これが経済の仕組みであるということです。個人や企業にとって経済的なメリットが生じる経済活動の一部として成立していることで、積極的かつ継続的に取り組むことが可能になります。環境配慮だけでなく経済的な循環を実現することで、持続可能な取り組みとなるという考えです。 これまでの経済モデルとの違い 経済の成長過程で行われてきた経済モデルは、大量生産・大量消費・大量廃棄を行う一方通行の直線的なシステムです。これはリニアエコノミーと言われます。環境問題と資源枯渇が問題視されたことでリサイクルやリデュース、リユースが推奨されるようになり、リニアエコノミー+3Rのモデルが取り入れられます。しかし、この方法でも資源消費・廃棄はなくならず、持続性が高いとは言えません。そこで、廃棄をなくし完全な循環を目指すサーキュラーエコノミーが提唱されました。従来の直線状の経済であるリニアエコノミーと異なり、資源から生産されたものが再び資源として循環する環状の経済がサーキュラーエコノミーです。 サーキュラーエコノミーを実現するための条件 サーキュラーエコノミーを実現する基本的な条件としては次のようなものが提唱されています。 3Rの取り組み強化リデュース・リサイクル・リユースをそれぞれ強化することで、輪をつなげた状態に近づけることができると考えられています。 資源投入量と消費量の抑制投入した資源に対してリサイクル量が釣り合わないと、直線的な経済かつ逆ピラミッド状のリニアエコノミーに近づきます。資源投入量と製品の消費量を抑制し、バランスよく循環できるようにする必要があります ストックの有効活用そのときの経済状況や世界情勢によっても、必要となる投入資源や販売量、製品の使用量には波があります。こういった増減の波を吸収できるような資源ストックの仕組み作りが必要です。 付加価値の創出・増大サーキュラーエコノミーを持続可能なものとするためには、価値を創出し経済活動の一部として成立させる必要があります。使用後の製品をリサイクルした原料や製品、またはその加工過程自体に価値を生み、すでにそこに経済活動が伴っている場合は、その価値を最大化させる仕組み作りが求められます。このように価値を大きくすることで、リサイクルに費やした生産コストも回収でき、経済活動として成立するようになります。 自然のシステムを再生イギリスに本部を置き、早くからサーキュラーエコノミーの推進に取り組むエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの原則のひとつとして自然システムの再生を提唱しています。自然界に存在する循環の仕組みを再生し、再び機能させることで自然資源を保存、または増加させ、サーキュラーエコノミーの循環も実現します。 期待される効果 資源消費の最小化と環境安定石油由来の天然資源の消費が最小化されるため、CO2排出量の削減にもつながり、脱炭素社会の実現に寄与します。 廃棄物の発生抑止現在は適切な処理がされずにごみとなってしまう「廃棄物」をも再使用することで廃棄物そのものをなくします。これにより、今も発生しているプラスチックごみの排出も抑止されます。 ビジネスの新たな競争力サーキュラーエコノミーの実現により、資源の循環に関する新たなビジネスモデルが創出され、経済的メリットを伴う循環のシステムが確立されます。こういった新たなビジネスモデルを構築することで、ビジネスにおける競争優位性の確保につながります。 取り組みは項目ごとに個別の目標を定めて これらのサーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みは、すべてを同時に推し進めるのではなく、それぞれについて個別に取り組んでいくことが有効です。企業がサーキュラーエコノミーへの転換を進める場合、企業の経営活動を続けながら新たな取り組みを進めなければなりません。現状でビジネスとして成立しているシステムを継続しながら転換を進める必要があり、すべてを同時に100%にすることは困難です。上記で紹介した条件のひとつ、またはいくつかに目標を定めて、部分的に取り組みつつ全体の効果へとつなげていくことで、サーキュラーエコノミー実現を目指します。 藤森工業の環境対応事例 単素材詰め替えパウチ「モノマテリアルパウチ」 循環型社会への貢献として、藤森工業は2030年までに廃棄物量30%削減を目標に取り組みを行っています。その内のひとつとして、リサイクルが容易で、従来の複合素材が持つ、強度物性、各種バリア性を備えたPEモノマテリアルスタンディングパウチの開発に国内で初めて成功しました。 粘着剤燃料化システム「ゲル燃焼ボイラー」 ここからは「リニアエコノミー+3R」の取り組みにはなりますが、環境負荷低減と経済性を両立させた実例をご紹介します。 産業向けや家庭用などのテープ類に使用される粘着剤は、一度固化が始まれば液状に戻ることはなく、凝固した粘着剤の大半が産業廃棄物となっているばかりか、処理費用も甚大です。現状でも、固化させる前の液状の粘着剤を燃料とする技術はあり、固形でも特殊な装置を使うことで燃料化することは可能です。しかし、液状と固形が混ざった状態の粘着剤を燃料とするのは技術的に別のプロセスを必要とするため、普及は進んでいません。 藤森工業はそこに着目し、資源の有効活用の一環としてゲル燃焼ボイラーを開発しました。このゲル燃焼ボイラーでは、固化する前の粘着剤の状態を長く保つような処理をしながら燃焼させることが可能です。完全燃焼するため黒煙や一酸化炭素が発生せず、地球環境と周辺環境に配慮した処理が可能です。また、このボイラーで粘着剤を燃焼した際に発生する熱は、回収して工場のエネルギー資源として再利用することが可能です。蒸気としてそのまま活用する方法や、熱回収発電装置と組み合わせることで、簡易的な火力発電が可能になり、電気エネルギーとしての再利用もできます。ゲル燃焼ボイラーは事業所単位で設置できるようコンパクトに設計されています。これまでは廃棄または別施設において処理されていた粘着剤廃液を、自社に設置したゲル燃焼ボイラーにより処理できるようになり、輸送に関する燃料の抑制ができトータルCO2排出量の削減にもつながります。 藤森工業では、持続可能な循環型の経済を実現する取り組みとして、ゲル燃焼ボイラーをご提案しております。ゲル燃焼ボイラーに関するお問い合わせは下記よりご連絡ください。

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保冷断熱シート「ハイピーフォイル」のオンライン販売開始

藤森工業(株)情報電子事業本部より保冷断熱シート「ハイピー®フォイル」のオンライン販売開始をお知らせいたします。 「ハイピー®フォイルシリーズ」は、断熱性、耐侯性・長期耐久性に優れることから、保冷カバー・ボックス、また屋外での保管時における日よけや上掛けシート等に長年の採用実績がある製品です。 冷蔵・冷凍・保温庫内やクーラーボックス内などの保温性を向上し、近年のエネルギー価格の高騰による消費電力削減ニーズに対応します。さらに長期間の使用に耐えうる耐久性を併せ持つため、廃棄物量の削減に貢献します。素材は柔軟性・クッション性がありながらカッターやハサミで簡単に裁断できるため、ご家庭でも用途に合わせてカスタマイズいただけます。現在は「FM-7 (750mm×10m)」1サイズのみの販売ですが、ラインアップの拡充も予定しています。別サイズのご要望等はこちらよりお問い合わせください ハイピーフォイル®「FM-7 (750㎜×10m)」購入ページ:https://amzn.asia/d/fn4W9pj ご購入にはAmazon business専用アカウントへの登録が必要となります。この機会にぜひご利用ください。Amazon business 会員登録(外部サイト):https://www.amazon.co.jp/business/register/org/landing?ref=JP_AB_ONS_MCS_NEW 本件に関するお問い合わせ先:藤森工業(株)情報電子事業本部:https://electronics.zacros.co.jp/contact/

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昭和事業所 太陽光パネル発電設備稼働について

藤森工業株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:布山英士、以下「藤森工業」) は、情報電子事業本部の主力工場である昭和事業所(群馬県昭和村)の駐車場などに太陽光パネル発電設備を導入し、2022年4月1日より稼働を開始いたしました。 発電量とCO2排出削減量 今回の太陽光パネル発電設備の導入により、自家消費電力として得られる年間想定発電量は約1,300MWhです。これは昭和事業所で年間使用される電力の約8%に相当し約600トンのCO2排出量削減につながります。 藤森工業の環境対応について 低炭素社会への貢献・・・エネルギーを無駄なく利用する製品とモノづくり目標値:2030年までにCO2を原単位で50%削減(生産プロセス&製品) 循環型社会への貢献・・・資源を無駄なく利用する製品とモノづくりで目標値:2030年までに廃棄物量を原単位で30%削減(製造廃棄物&製品) 自然共生社会への貢献・・・地球環境に調和した製品とモノづくりで目標値:2030年までに環境負荷物質を原単位で30%削減(生産&製品) 藤森工業のサステナビリティへの取組み 藤森工業のサステナビリティへの取組みの詳細についてはこちらよりご確認いただけます。 本件に関するお問い合わせ先 藤森工業株式会社 総務部TEL:03-5804-4221URL :https://www.zacros.co.jp/contact/

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光学用表面保護フィルムの選び方とは?基材・粘着剤の種類も紹介します

藤森工業では世界でトップシェアを獲得している「偏光板用保護フィルム」をはじめ、対光学フィルム用途を中心としたPET基材ベースの保護フィルムを展開しています。保護フィルムには粘着剤をシート化したもの、基材フィルムに粘着剤を塗工したものがありますが、当社は基材に粘着剤をコーティングしたタイプの保護フィルムをラインナップしています。 今回は保護フィルム選定のうえでポイントとなる基材の種類・粘着剤の種類について、ご紹介します。 基材の種類 光学用表面保護フィルムの基材として当社はPETフィルムを用いて粘着剤を塗工した製品をラインナップしています。PETフィルムは、他社で用いられているPE、PP、PET、PVC等に比べ、透明性が高く、さらに耐熱性とコストのバランスに優れています。また光学用ラインナップが数多く展開されているため、光学フィルム用基材としての採用実績も豊富です。ただし、非常に高温の工程を要する場合や熱による膨張・収縮により生じるズレを防止するためなど、使用環境により他のフィルムを基材とすることもあります。光学特性を必要とする場合のご相談も承ります。 粘着剤の種類 代表的な粘着剤には、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系などがあります。それぞれに長所と懸念点があり、貼り合わせる素材や使用シーンなどに応じて使い分けます。  長所懸念点アクリル系設計の自由度が高い低温での粘着力ウレタン系エア抜け性が良い湿度劣化(黄変)ゴム系低誘電・低透湿耐熱性シリコン系高耐熱性汚染性(移行性) アクリル系 アクリル系は材料組成を変化させることで、幅広い粘着力を発現させることが可能です。またタック性、なじみ性に優れ、汚染性が少ない特性から、多くの分野で使用されています。ただし低温での貼合時には粘着力の低下の可能性があるため、使用環境に注意が必要です。 ウレタン系 ウレタン系は柔軟性が高く、再剥離性や貼合時のエア抜け性が良いという特徴があります。粘着力の温度依存性が小さく帯電防止性も発現しやすいことから微粘着系に使われることが多い粘着剤です。弱点としては紫外線下での黄変や湿度の影響を受けやすいほか、粘着力の調整も難しい点があげられます。 ゴム系 ゴム系は被着体の選択性が低く多様な素材に接着可能で、オレフィン系のような難接着素材にも優れた粘着性を示します。難点としては耐候性や耐熱性に劣る為に変色や劣化、軟化などにより接着不良が生じやすい点があげられます。 シリコン系 シリコン特有の物性から、耐熱性や耐寒性・電気絶縁性といった多くの特性に優れており、またシリコンやフッ素といった難接着素材にも優れた粘着性を示します。一方で、粘着剤そのものが高価格であることに加え、汎用的な剥離剤が使えないといったコストアップ要素があり、特殊な用途に用いられるケースが多い粘着剤です。 藤森工業ではアクリル系を中心にラインナップしており、ウレタン系も展開しています。 以下に主力であるアクリル系粘着剤のラインナップについて紹介します。 各被着体に対する粘着力  サンプル構成:サンプル構成:基材=PET(厚み38μm)+粘着剤(厚み10μm)測定条件:剥離角度=180°剥離、剥離速度=0.3m/min.  上表は、基本となる粘着主剤に対して、添加剤を加える等の配合調整することにより、各被着体に対する粘着力をある程度の範囲で調整できることを示しています。例えば、対PETフィルムの保護フィルムとして微粘着タイプのものを検討されている場合、主剤Aを配合調整することでより粘着力が低いものにできる可能性があります。実際の保護フィルム選定では、使用する基材の選定(素材、厚みなど)や帯電防止(AS)処理などの付加機能、お客様の使用条件で求められる耐熱性などを考慮しながら設計します。 藤森工業のディスプレイ工程用・出荷用保護フィルム EWシリーズ 透明性が高く、貼合したままでの外観検査が可能な保護フィルムです。 EWシリーズのカタログは以下からダウンロード可能です。 「表面保護フィルム」に関するお問い合わせ 藤森工業では有機EL工程用保護フィルムや偏光板用保護フィルムなど各種保護フィルム製品をそろえているほか、委託加工も承ります。

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