離型フィルム入門講座(全5回)|第3回 離型剤の特性を知る
- コラム
「離型フィルム」とは基材となるフィルムや紙に離型剤をコーティングしたもので、粘着面の保護や、樹脂成膜の下地に使用される製品です。シート状の粘着剤は被着体に押し当てるだけで容易に接着できるため、便利な製品ですが、使用直前まで粘着面を離型フィルムで保護する必要があります。そこで粘着製品の機能を最大限に発揮させるうえで重要となる離型フィルムの選び方を全5回に分けて解説します。
第1回 | 離型剤の種類を選ぶ |
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第2回 | 離型フィルムの基材を選ぶ |
第3回 | 離型剤の特性を知る |
第4回 | 付加機能を選ぶ |
第5回 | 総括 |
第3回目の今回は「離型剤の特性を知る」。離型剤の特性を知り、用途に合わせて選定すれば、良好な剥離性能と機能を発揮できます。
離型フィルムの基本特性
1. 剥離力
剥離角度
剥離する角度によって剥離力が変わるため、評価方法として「90度剥離試験法」「180度剥離試験法」(日本工業規格JISZ0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)による)の2種類が良く使われます。
剥離速度
一般的な試験に使われる剥離速度は300mm/minです。
粘着剤は粘弾性を有するため剥がす速度を上げると粘着剤が流動する時間が不足して、バネ(粘弾性)を動かす為に大きな力が必要になります。また、ある領域ではバネが切れて『バリバリ』と音がすることがあります。
経時変化
一般的に粘着剤に離型フィルムが貼り合わせられた状態では、経時で剥離力が上昇します。剥離力の変化を最小限に抑えるためには、剥がすまでの保管環境、時間を管理する必要があります。
2. 残留接着力
残留接着率とは、粘着剤本来の粘着力に対し、離型フィルムから剥がした後の粘着力を測定し、粘着力低下の程度を知る指標となるものです。
離型フィルムを剥がした粘着面には、離型剤が移行し、粘着力が低下することがあります。離型フィルムの選定にあたっては、剥離力だけではなく、残留接着率への影響も確認する必要があります。
3. 密着性
基材フィルムと離型剤の密着性を確保するために、剥離処理の前にコロナ処理やアンカーコート処理を行います。
4. 耐溶剤性
離型フィルムに粘着剤を直接塗工する場合、粘着剤中の溶剤成分が離型剤に影響を及ぼすことがあるため、耐溶剤性の確認が必要です。
5. 濡れ性
離型フィルムに粘着剤を直接塗工する場合、濡れ性が悪いと粘着剤をはじきます。
一般的に濡れ性の低いシリコーン離型剤では、はじいたり、オレンジピールのように凹凸ができたりすることがあり、離型剤種類や塗工量での制御が可能です。濡れ性を大きく向上させるノンシリコーン離型剤のラインナップもございます。
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次回の第4回「付加機能を選ぶ」編では離型フィルムに剥離以外の機能を与えたり欠点のカバーを行う際のポイントを解説します。
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