コラム

なぜ異種金属接合が注目されている?その背景から接合の種類や素材接合方法の選び方までを解説

なぜ異種金属接合が注目されている?その背景から接合の種類や素材接合方法の選び方までを解説

高機能で軽重量、かつ低価格な商品が多く市場に投入されている現代、製品開発ではより強く軽い素材を低コストで導入し、製品生産するための施策が必要不可欠です。現状の製品に利用している部材を置き換えたり、新たな素材を加えたりするなど、開発部門をはじめとした担当者はさまざまな手段を考えなければなりません。そこで本コラムでは、今注目されている異種金属接合について、注目の背景から異種金属接合の種類や特徴・用途をおさらいしながら、異種金属接合の選び方を解説します。

異種金属接合が注目される背景           

今、異種金属接合の技術が注目されています。なぜなら、高性能で扱いやすい製品には、さまざまな金属材料を組み合わせた素材が利用されており、多くの製品で異種金属接合が利用されているからです。

では、なぜさまざまな金属を組み合わせるのでしょうか。そこには、軽量化や低コスト化、省エネ化などの狙いがあります。もちろん、低コストで軽い素材で製品を作り替えればよいという考え方もありますが、どうしてもその金属を使用しなければならない製品もあります。

例えば、EV自動車(電気自動車)などでは、バッテリーやモーターに利用される素材を、軽量化できるからといってすべて樹脂素材にすることはできません。車体の軽量化を図るためには、アルミニウム合金やマグネシウム合金、樹脂や炭素繊維強化複合材料を利用する手段もありますが、材料コストや製造コストを考慮すると実用的ではないのです。

では、必要な部分の強度を保ちながら軽量化するためにはどうしたらよいのでしょうか。その方法としては、必要な部分にのみ従来と同様に適した金属を使い、その他の部分を別の部材に置き換えるといった方法が考えられます。軽量化やコスト削減などを実現するための手段として異種金属接合が注目されています。ちなみに、異種金属接合などの異種素材接合は「マルチマテリアル」とも呼ばれています。

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異種金属接合の種類・特徴・用途        

では、異種金属接合にはどのような種類があるのでしょうか。大きくは「機械的接合」「材料的接合」「化学的接合」の3種類に分類できます。ここでは、それぞれの特徴や用途も含めて確認していきましょう。

機械的接合とは

機械的接合とは、ねじや圧力などによって接合する方法です。

ボルトやナットの2部品で締め付けて接合したり、プレス機でシャフトを穴に押し込んだりすることで、部材を接合するのです。そのほかに機械的接合には、焼嵌めやカシメといった方法もあります。

1)特徴

機械的接合の特徴には、次のような例が挙げられます。

  • ねじ固定:安価に接合でき、メンテナンス時には容易に分解できる
  • 圧力固定:強度のある異なる材質同士を接着剤と圧力で接合するため、強固な接合か可能
  • 焼嵌め固定:機械のシャフトの接合などに使用される方法で、高温度に加熱して熱膨張を利用することで接合する
  • カシメ固定:板形状の2枚の部品を、塑性変形を用いて接合する。接合後に分解する製品には不向き

2)用途

上述した接合方法のそれぞれの用途を見ていきましょう。

  • ねじ固定:機器全般、送電線用鉄塔、気密機械、家電製品のカバー など
  • 圧力固定:シャフトを使う円盤状の部品、ベースへのピン立て など
  • 焼嵌め固定: 鉄道車輪などの車輪とシャフト、工作機械焼嵌めチャック など
  • カシメ固定:布や紙の接合、橋梁などの構造物、板金の接合 など

材料的接合とは

材料的接合とは、部材を溶融して接合する溶融接合や、基盤のハンダ付けなどの液相接合のような方法のことです。主に、溶融接合にはアーク溶接やガス溶接、液相接合にはハンダ付けやロウ付け、固相接合にはFSWなどがあります。

1)特徴

材料的接合には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 溶融接合:部材を溶融させることで接合する方法です。溶接物と電極間にアークを発生させるアーク溶接は自動化しやすいのですが、変形しやすいものです。ガス溶接は酸素とアセチレンガスを燃焼させることで金属の溶融接合を行います。その他、大電力を通電した発熱で金属を溶融する抵抗溶接や、レーザー光の照射で微細な溶接を行うレーザー溶接もあります。
  • 液相接合:ロウ付けやハンダ付けで接合する方法です。融解点の低いロウなどを溶かしたり、シート状のロウを利用したりすることで、部材を融解することなく接合できます。銅とアルミニウム版、配管や自動車の熱交換部品などの接合方法に用いられる方法です。また、融解点の低いハンダは、濡れ性と表面張力で形状を維持して接合します。
  • 固相接合:部材を溶解せずに固相状態で加熱し、さらに加圧することで接合する方法です。FSW(Friction Stir Welding)は比較的新しい技術で、部材と部材の間に丸棒状の部材に圧力をかけながら回転させ接合します。

2)用途

材料的接合には以下のような用途があります。

  • 自動車のフレーム
  • 電子機器の筐体フレーム
  • ステンレス・鉄・チタンの接合
  • 自動車ボディーや小型精密機械部品の接合
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化学的接合とは

化学的接合とは、原子やイオン、分子の間に働く力を利用したファン・デル・ワールス力やアンカー効果などを利用して、異なる材質の部材を強力に接合させる化学的接合方法です。接着剤は歴史も古く、現代でも異種金属接合で利用されています。

化学的接合に使われる接着剤の主な種類には、以下が挙げられます。

  • 嫌気性接着剤
  • 紫外線硬化型接着剤
  • 瞬間接着剤
  • 弾性接着剤

またフィルム状のホットメルト系接着剤は以下のような特徴と用途があります。

1)特徴

  • 異なる素材の接合:金属やセラミック、フィルムなどの接合に利用される
  • 均一な接着・接合:フィルム状の接着剤であれば、厚みにバラツキが少なく、塗布ムラもなく均一に接着・接合できる
  • 打ち抜き:フィルム状の接着剤は要望に合わせた打ち抜きが可能

2)用途

  • 電気・電子機器などの接着
  • ガラスの接着
  • 家庭用品も含めた接着

また、様々な異種素材を接着・接合でき、具体的な被着体部材としては以下のようなものが挙げられます。

  • 金属:SUS、アルミ、ニッケル、チタン など
  • セラミック:ガラス、石膏、ファインセラミック など
  • フィルム:PPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム、フッ素フィルム など

アルミパウチタイプのリチウムイオン電池のタブ電極接着や燃料電池のセパレータなどの接着、その他電子部材の接着・接合の用途としても利用できます。

異種金属接合方法の選び方

ここまで確認してきたとおり、異種金属接合の方法には種類があります。どの方法を選ぶかは、製品の性質によって大きく左右されます。また、均一に接合したい、生産性の効率化を図りたいといった視点からも方法を選択する必要があります。

異種金属接合の方法の選び方のポイントとしては、以下を参考にするとよいでしょう。

  • 耐久性
  • 接着強度
  • 接着剤の種類
  • 用途への適性

まとめ

異種金属接合は、高性能で扱いやすい製品を作るうえで必要な接合方法です。さまざまな部材を組み合わせることで、軽量化や低コスト化といったメリットが得られます。異種金属接合には「機械的接合」「材料的接合」「化学的接合」の3つの方法がありますので、部材に適した接合方法を選択することが重要です。異種金属接合の方法を選ぶポイントとしては、耐久性や接着強度、接着剤の種類などを部材に合わせて選択しなければなりません。異種金属接合については、豊富な製品やノウハウを持った企業に相談することもひとつの手段です。

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