プラスチックフィルムの種類と特徴とは?基礎知識から選び方まで徹底解説
- コラム
- 保護フィルム
- 接着フィルム
- 高機能フィルム

目次
はじめに
プラスチックフィルムは現代の産業や私たちの日常生活において欠かすことのできない極めて重要な素材です。スーパーマーケットに並ぶ食品のパッケージからスマートフォンの内部で使用される微細な電子部品の絶縁材料に至るまで、その用途は多岐にわたります。技術の進歩に伴いプラスチックフィルムに求められる機能も高度化しており、単なる包装材としての役割を超えて、製品の付加価値を決定づける重要な要素となっています。
本記事ではプラスチックフィルムの導入を検討している設計者や調達担当者に向けてその基礎知識から代表的な種類と特徴について詳しく解説します。さらに多様な産業分野における具体的な活用事例や自社の要件に合わせた最適なフィルムの選び方などの情報を提供します。
プラスチックフィルムの特性を深く理解し製品開発や品質向上のための最適な素材選定にお役立てください。
プラスチックフィルムの基礎知識と主要な役割
プラスチックフィルムを適切に活用するためにはまずその基本的な定義やどのように製造されているのかという基礎知識を把握することが重要です。素材の成り立ちを理解することで用途に応じた最適な選定が可能となります。ここではプラスチックフィルムの基本概念と産業界で果たしている主要な役割について解説します。
プラスチックフィルムの定義と製造方法
一般的にプラスチックフィルムとは合成樹脂を主原料として厚さが0.25ミリメートル未満の薄い膜状に成形されたもの、とJIS規格で定義されています。厚さが0.25ミリメートル以上のものはプラスチックシートと呼ばれ明確に区別されることが一般的です。プラスチックフィルムは軽量でありながら柔軟性と耐久性に優れており様々な形状に加工しやすいという大きな利点を持っています。
プラスチックフィルムの製造方法には主に押出成形法が用いられます。代表的な手法としてTダイ法とインフレーション法が存在します。Tダイ法は溶融したプラスチック樹脂を直線状の細い隙間を持つ金型から押し出し、冷却ロールで冷やして巻き取る方法であり、厚みの精度が高く光学用途などに適しています。一方のインフレーション法は円筒状の金型からチューブ状に樹脂を押し出し内側に空気を吹き込んで風船のように膨らませながら冷却する方法です。この方法は包装用フィルムなどの大量生産に向いているとされます。
さらに成形されたフィルムに対して縦方向や横方向に引き伸ばす延伸処理を施すことで分子の配向を揃え機械的強度や透明性を飛躍的に向上させる技術も広く用いられています。二軸延伸フィルムなどはこの技術によって製造されておりさまざまな高機能用途に採用されています。
産業分野におけるプラスチックフィルムの役割
プラスチックフィルムが産業分野で果たす役割は単に物を包むという保護の目的にとどまりません。素材の進化と加工技術の発展により現在では高度な機能性材料として産業の根幹を支える存在となっています。例えば外部からの水分や酸素の侵入を防ぐバリア機能は食品の賞味期限延長や医薬品の品質保持に直結します。
また電気を通さない絶縁機能は電子回路やバッテリーの安全性を担保するために不可欠です。さらに光の透過や屈折を精密にコントロールする光学機能は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの性能を左右する重要な要素となります。このようにプラスチックフィルムは各産業が抱える技術的な課題を解決し、製品の小型化や高機能化を実現するためのキーマテリアルとして機能しています。
| 製造方法 | 特徴 | 主な適応用途 |
| Tダイ法 | 厚み精度が高く平面性に優れる。高速生産が可能。 | 光学用フィルム、高機能包装材、産業用部材 |
| インフレーション法 | チューブ状で製造されるため袋への加工が容易。設備費が比較的安価。 | レジ袋、ゴミ袋、一般的な食品包装用フィルム |
| カレンダー法 | 複数の過熱ロールで圧延する。厚手のフィルムやシートに向く。 | 塩化ビニルフィルム、農業用フィルム、建材用 |
代表的なプラスチックフィルムの種類と特徴
プラスチックフィルムには原料となる樹脂の性質に応じて多種多様な種類が存在します。これらは大きく汎用プラスチック/エンジニアリングプラスチック/スーパーエンジニアリングプラスチックの3つのカテゴリーに分類されます。それぞれのカテゴリーにおける代表的なフィルムの特徴を理解することが、最適な素材選定の第一歩です。
汎用プラスチックフィルムの特性
汎用プラスチックフィルムは製造コストが低く加工性に優れているため私たちの日常生活において最も広く普及している種類です。代表的な汎用プラスチックとしては、ポリエチレンフィルム(PE)とポリプロピレンフィルム(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられます。
ポリエチレンフィルム(PE)はさらに低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンに分かれます。低密度ポリエチレンは柔軟で透明性が高くヒートシール性に優れ、特に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、 食品包装をはじめとする包装材料のシーラント層として多用されます。高密度ポリエチレンは不透明ですが引っ張り強度が高く、レジ袋などに適しています。
ポリプロピレンフィルムはポリエチレンよりも透明性や耐熱性に優れており防湿性も高いためスナック菓子の包装やアパレル製品のパッケージなどに広く利用されています。特に二軸延伸ポリプロピレンフィルムは引っ張り強度や透明性が極めて高く印刷適性にも優れているため包装材のベースフィルムとして不可欠な存在です。
ポリ塩化ビニルフィルムは、優れた柔軟性、透明性、加工性、そして印刷性を備えているほか、難燃性に優れます。可塑剤の配合量によって、硬質から軟質まで硬度を自在に変えられる特徴を持ち、食品包装や日用品、工業用間仕切り、建材、カード類など幅広く使われています。
ZACROSの汎用プラスチックフィルム製品
ホットメルト接着シート「メタシール」
異種素材を接着するPP系ホットメルト接着フィルムです。
当社のラミネート技術を応用し開発されたメタシール®は、リチウムイオン電池等の各種用途の接合に使用されています。
液状接着剤と比較してタクトタイムが短く作業性が良い製品です。
タブシールフィルム
耐電解液適性を持つリチウムイオン電池のタブリード用接着フィルムです。
異種材料接着フィルム「メタシール®」の応用開発から誕生し、20年以上の実績がある信頼性の高いフィルムです。
エンジニアリングプラスチックフィルムの特性
エンジニアリングプラスチックフィルムは汎用プラスチックよりも優れた機械的強度や耐熱性を持ちより過酷な環境下での使用に耐えうる素材です。このカテゴリーの代表格がポリエチレンテレフタレートフィルムです。ペットボトルの素材としても知られるこの樹脂をフィルム化したものは、透明性機械的強度耐熱性寸法安定性のバランスが非常に高く、価格も比較的安価であるため産業用から包装用まで圧倒的なシェアを誇ります。
またナイロンフィルムも重要なエンジニアリングプラスチックフィルムの一つです。ナイロンフィルムは突刺し強度や耐ピンホール性に極めて優れておりマイナス数十度の低温環境でも柔軟性を失わないという特徴があります。そのため冷凍食品の包装や鋭利な骨を含む肉類の真空包装など物理的な強度が強く求められる用途で重宝されています。
ZACROSのエンジニアリングプラスチックフィルム使用製品
「偏光板用保護フィルム:マスタック®TFB」
ZACROSではPETフィルムを使用した製品を数多く取り揃えており、中でもPETフィルムへ粘着剤を精密コーティングした偏光板用保護フィルムは世界トップシェアです。
当社では粘着剤を自社開発しているため、さまざまな被着体を保護し、糊残りなく剥がすことが出来ます。
スーパーエンジニアリングプラスチックフィルムの特性
スーパーエンジニアリングプラスチックフィルムはプラスチックの中でも最高レベルの耐熱性や化学的安定性を誇る特殊なフィルム群です。連続使用温度が150度を超えるものが多く特殊な産業用途に限定して使用されます。代表的な素材であるポリイミドフィルムは400度以上の高温にも耐えうる驚異的な耐熱性を持ち極低温から高温まで幅広い温度領域で電気的および機械的特性を維持します。そのためフレキシブルプリント基板などの高度な電子部品に不可欠です。
さらにフッ素樹脂フィルムもこのカテゴリーに含まれます。フッ素樹脂フィルムは離型性に極めて優れており、他の物質がくっつきにくいという独特の性質を持っています。また耐薬品性・対候性にも優れるため屋外の過酷な環境で使用される建材の表面保護や半導体製造工程における特殊な離型フィルムとして活用されています。
LCPフィルムは、5G/6G時代の通信インフラを支える次世代高機能フィルムとして位置づけられており、電子機器の高性能化・小型化・高速化に不可欠な素材となっています。今後はミリ波レーダーや車載用途、さらには6G向け材料としても需要拡大が期待されています。
分子鎖が高度に配向した構造を持つため、強度が高く、耐熱性も高いことから、一般的なプラスチックフィルムを凌ぐ優れた特性を発揮します。
| 分類 | 代表的なフィルム | 主な特徴 | 主な用途 |
| 汎用プラスチック | ポリエチレン (PE) | 柔軟性、ヒートシール性、耐水性、低コスト | 食品包装の内層、レジ袋、農業用フィルム |
| 汎用プラスチック | ポリプロピレン (PP) | 透明性、防湿性、適度な耐熱性 | スナック菓子包装、衣類包装、粘着テープ基材 |
| エンジニアリング | ポリエチレンテレフタレート (PET) | 機械的強度、透明性、寸法安定性、耐熱性 | 液晶ディスプレイ部材、包装用ベースフィルム、磁気テープ |
| エンジニアリング | ナイロン (PA) | 突刺し強度、耐ピンホール性、耐寒性 | 冷凍食品包装、真空包装、ボイル殺菌包装 |
| スーパーエンジニアリング | ポリイミド (PI) | 超高耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性 | フレキシブルプリント基板、航空宇宙部材、モーター絶縁 |
| スーパーエンジニアリング | 液晶ポリマーフィルム(LCP) | 低誘電、高耐熱性、低熱膨張性、高機械強度、耐薬品性、ガスバリア性 | 5G/6G高周波FPC、高速伝送基板、音響機器、燃料電池部材、医療パッケージ、航空宇宙部品 |
プラスチックフィルムの主な用途と活用事例
プラスチックフィルムの持つ多様な特性は様々な産業の発展を根底から支えています。各産業分野においてプラスチックフィルムがどのような課題を解決し、どのような形で活用されているのかを具体的に見ていくことで、自社のビジネスへの応用可能性を探ることができます。ここでは主要な3つの分野における活用事例を解説します。
食品包装・パッケージ分野での活用
食品包装分野においてプラスチックフィルムは内容物の鮮度保持や品質劣化の防止という極めて重要な役割を果たしています。食品の酸化を防ぐためには酸素バリア性が乾燥や吸湿を防ぐためには水蒸気バリア性が求められます。これらの要求を満たすために、異なる特性を持つ複数のフィルムを貼り合わせる多層構造が一般的に採用されています。
例えばレトルトカレーなどのパウチ包装では印刷基材としてPETフィルム、酸素を遮断するためのアルミ箔やバリアフィルム、そして熱で封をするためのポリプロピレンフィルムが積層されています。これにより常温での長期保存が可能となり食品ロスの削減や物流コストの低減に大きく貢献しています。また近年では電子レンジでそのまま加熱できる特殊な機能を持たせたパッケージも普及しており消費者の利便性向上にも寄与しています。
電子部品・半導体分野での活用
スマートフォンの小型化や自動車の電装化に伴い、電子部品分野におけるプラスチックフィルムの需要は急速に拡大しています。この分野では極めて高い電気絶縁性や寸法安定性、そして製造工程における高温に耐えうる耐熱性が要求されます。前述のポリイミドフィルムは折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板のベース材料として、スマートフォンやウェアラブル端末の内部配線に不可欠な存在です。
また積層セラミックコンデンサの製造工程においては、極薄のセラミックシートを成形するための離型フィルムとして表面を特殊処理したPETフィルムが大量に使用されています。離型フィルムにはナノメートル単位の平滑性と均一な剥離力が求められ高度なコーティング技術が駆使されています。さらにディスプレイ分野では光の反射を抑えたり、視野角を広げたりするための光学フィルムが多数使用されており映像の高品質化を支えています。
医療・医薬分野での活用
医療分野では厳格な衛生管理と高い安全性が求められるため、プラスチックフィルムの品質基準も非常に高くなります。医薬品の錠剤やカプセルを包装するPTP包装には防湿性と透明性に優れた塩化ビニルフィルムやポリプロピレンフィルムが使用されています。これにより医薬品の有効成分を湿気や光から保護し、安全に患者の手元に届けることが可能になります。
また病院で使用される輸液バッグにもプラスチックフィルムが活躍しています。かつてはガラス瓶が主流でしたが軽量で割れる危険性がなく廃棄も容易なプラスチック製バッグへの移行が進みました。輸液バッグ用のフィルムには内容物との化学反応を起こさない安全性や高温での滅菌処理に耐える耐熱性が求められ特殊なポリオレフィン系の多層フィルムが採用されています。医療現場の安全性と効率性を高める上でプラスチックフィルムは欠かせない資材となっています。
| 産業分野 | 具体的な用途例 | 要求される主要機能 | 採用される主なフィルム |
| 食品包装 | レトルトパウチ、真空包装 | 酸素・水蒸気バリア性、耐熱性、ヒートシール性 | PET、ナイロン、アルミ蒸着フィルム、CPP |
| 電子部品 | フレキシブルプリント基板 | 高耐熱性、電気絶縁性、寸法安定性 | ポリイミドフィルム |
| ディスプレイ | 偏光板保護、位相差フィルム | 光線透過率、低複屈折、平滑性 | TACフィルム、アクリルフィルム、COPフィルム |
| 医療・医薬 | 輸液バッグ、PTP包装 | 無毒性、滅菌耐性、防湿性 | ポリオレフィン多層フィルム、PVC、PP |
用途に合わせたプラスチックフィルムの選び方
多様な種類が存在するプラスチックフィルムの中から自社の製品や製造プロセスに最適なものを選択することは容易ではありません。誤った素材選定は製品の不具合や製造コストの増大を招くリスクがあります。ここではプラスチックフィルムを選定する際に考慮すべき重要な評価基準と、具体的な選び方のポイントについて解説します。
要求される物理的特性からの選定
プラスチックフィルムを選定する際、最初に明確にすべきは用途においてどのような物理的な力が加わるかということです。フィルムが引っ張られる力がかかる場合は引張強度や伸び率を評価する必要があります。鋭利なものが触れる可能性がある場合は突刺し強度が重要になり、裂けにくさが求められる場合は引裂強度を確認します。これらの機械的特性はフィルムの材質だけでなく厚みや延伸の有無によっても大きく変化します。
また光学的な特性も重要な物理的要件です。中身を見せるパッケージやディスプレイ部材であれば高い光線透過率と低いヘイズ値が求められます。逆に光による劣化を防ぐ必要がある場合は遮光性を持つフィルムを選定します。さらにロール状で加工機に通す際の取り回しの良さや摩擦係数などの表面のスベリ性も、製造効率を左右する重要な物理特性となります。
耐熱性と耐薬品性からの選定
製品の製造工程や最終的な使用環境においてフィルムがどのような温度や化学物質に晒されるかを正確に把握することは非常に重要です。耐熱性を評価する指標としては連続使用が可能な最高温度を示す連続使用温度や、フィルムが軟化し始めるガラス転移点そして溶融する融点などがあります。ハンダ付け工程がある電子部品やボイル殺菌を行う食品包装では、これらの温度指標をクリアする素材を選ばなければなりません。
耐薬品性については、酸アルカリ有機溶剤など接触する可能性のある化学物質に対する耐性を確認します。特定の溶剤に触れるとフィルムが膨潤したり、溶解したり、強度が著しく低下したりする場合があります。特に工業用途や医療用途では洗浄剤や滅菌ガスに対する耐性も考慮する必要があり各種耐薬品性データに基づいた慎重な選定が求められます。
コストと加工性からの選定
優れた機能を持つプラスチックフィルムであっても、製品のコストに見合わなければ量産への採用は困難です。材料単体の価格だけでなく、歩留まりや加工速度を含めたトータルコストで評価することが重要です。高価なフィルムであっても、不良率を大幅に低減できれば結果的にコストダウンに繋がるケースもあります。
また自社の設備で問題なく加工できるかという加工性の確認も欠かせません。インキの定着性を示す印刷適性や必要なサイズに正確にカットできるスリット加工性そして熱を加えて接着するヒートシール性などは製造ラインの生産性に直結します。新しいフィルムを導入する際には必ずテスト生産を行い、既存の設備条件で安定した品質が得られるかを検証することが不可欠です。
プラスチックフィルムの加工技術と付加価値
単一の素材からなるプラスチックフィルムだけでは高度化する市場の要求をすべて満たすことは困難です。そこでフィルムに対して様々な加工技術を施すことで新たな機能を付与し高い付加価値を持たせることが一般的に行われています。
高機能化に向けた研究開発のトレンド
環境対応と並行して次世代産業を支えるためのプラスチックフィルムの高機能化に向けた研究開発も活発に行われています。例えば高速大容量通信規格である5Gや6Gの普及に向けて高周波帯域でも電気信号の損失が少ない低誘電特性を持つ特殊なポリマーフィルムの開発が進められています。これにより通信機器の性能向上と省電力化が期待されています。
また電気自動車の普及に伴い次世代バッテリーとして期待される全固体電池向けの特殊な絶縁フィルムやセパレータの開発も急務となっています。さらに医療分野では生体適合性を高め体内で安全に分解される医療用フィルムの研究なども進んでおりプラスチックフィルムの応用領域は今後も無限の広がりを見せていくと予想されます。
プラスチックフィルムの要点まとめ
この記事の要点をまとめます。
・プラスチックフィルムは素材ごとに耐熱性や機械的強度が異なり用途に応じた選定が不可欠である
・食品包装から電子部品まで幅広い産業を支える重要な基盤材料として機能している
自社の課題解決に最適なプラスチックフィルムを選定し製品の価値向上にお役立てください。
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